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ザ・グレアム・グールドマン・シング
いかにレイ・デイヴィスが「きみもスタアだ(Everybody's A Star)」と言い含めようとも、世の中にスタアというのはほんの一握りでしかない。
あとはせいぜいがそのスタアの裏方さんか、残りの99.99999%くらいの人は、まあ言ってみればタダの人だ。

それで、このタダの人については、キンクスなんかが散々取り上げて、持ち上げたり突き放したりしてくれているので、ここでは敢えて言うこともない。
今日言いたいのは残りのひとつ「裏方さん」についてであります。

で、この裏方さんにも2種類あって、ひとつは自分から進んで裏方になったタイプ。
こういう人は本当のやり手ですね。昔ジョン・レノンなんかも、ビートルズ成功の秘密を訊かれて「そんなの分かんない。分かってたら裏方で稼ぐ」と言ってましたけど、そりゃあ人に演奏させて、自分は裏で札束数えてるような生き方が出来れば、これ以上の幸せはないわけで。

ところが、同じ裏方でも、本当はスタアになりたいのに、そして才能だって備わってるのに、チャンスがなくて仕方なしに裏方をやっているというタイプ。
こういうのは一番ストレス溜まるでしょうね。
目の前にいるスタアを卑屈に見ながら、「本当は俺の方が才能あるのに!」とか考えたりして。

それで、誰がこのタイプかとかは言わないけれども…

…とか言いながら言っちゃうけれども、僕の勝手なイメージでは、60年代のグラハム・グールドマンなんかがこのタイプなんじゃないでしょうか?
いや、これは本当に僕の個人的なイメージですけどね。


すると、じゃあそもそも「グレアム・グールドマン」って誰?って話ですが、まあ、名前の前に形容詞的に付け加えるならば“10ccの”っていうのが一番妥当ですかね。
これなら知ってる人はぐっと増えますね。
あと、その他にいくつか思いつくのは“ヤードバーズの「For Your Love」を書いた”とか“ホリーズの「Bus Stop」を書いた”とか、あと、もちろん10ccの「I'm Not In Love」も書いている。
だから、60年代から70年代にかけてのブリティッシュ・ロックでは、結構な重要人物のはずなんだけれども、どうでしょうね、あまり単独ではピンと来る人も少ないような気がします。

経歴を見ていると、この人は典型的な裏方、参謀タイプで、例えばグループの頭脳としては非常に頼れる存在だけれども、ソロとして目立とうとすると全然芽が出ない。
失礼ながらそんな印象。
本人がそれに甘んじていたのかどうか、それは知る由もないですが、他のミュージシャンが歌ってヒットさせた曲をセルフ・カヴァーした、こんなアルバムを1968年に出しているところを見ると、ソロ歌手として売れてやろうとかいう野心も、ちょっとくらいはあったんじゃないかなあ。
まあ、あんまり売れなかったみたいですけどね。


売れた売れないは二の次として、しかし彼が68年に残したファースト・ソロアルバムの出来というのが、これが相当に良いのです。
なにしろ、彼が裏方としての才能を発揮して、他のアーティストに書いてヒットさせた名曲がふんだんに入っている。
加えて、アレンジを担当したのが、かのジョン・ポール・ジョーンズ(この人も長いこと裏方でした)であるからして、曲によってはオリジナル・アーティストよりも上を行っていたりする。

曲良し、アレンジ良し、良くないのはグレアム・グールドマン本人のヴォーカルだけだったりして…
ま、この辺がソロとして売れなかった原因なんだろうけれども、しかし、それってさすがに致命的かな。


ストリングス・アレンジが冴えわたっていて、ホリーズよりも格調高く演奏される「Bus Stop」とか



クラプトンが「こんな曲やりたくねえ!」と言って、彼のヤードバーズ脱退の引き金になった「For Your Love」とか



そもそもこの「For Your Love」という曲にしても、最初はグールドマンが自分のバンドのために書いたものだったのにレコード会社から却下されて、それで仕方なしにヤードバーズに譲ったら、これが全英3位、全米6位の大ヒットになったんだから、グールドマンの運の無さというのは推して知るべしと言うべきですね。

それからハーマンズ・ハーミッツが66年にヒットさせた「No Milk Today」であったり、ウェイン・フォンタナが67年にヒットさせた「Pamela,Pamela」。
あと、あまり売れなかったけれども66年にシェールが出した「Behind The Door」など、60年代後半のイギリス音楽のエッセンスがギュギュッと詰まった隠れた名盤がこれであります。

キンクス日和的に書くならば、ちょっと陰のある『Face To Face』とか、ひねくれてない『Something Else』という感じでしょうか?ちょっと強引かな?
あまりビートは利いていないけれども、終わりを迎えつつあるスウィンギング・ロンドンを象徴するような、哀感ただよう楽曲の数々は、いま聴いても心に響く。


グールドマンは60年代を、作曲家やプロデューサーなどの裏方として過ごした後、1972年にエリック・スチュワート、ゴドレイ&クレームと組んで10ccを結成。
ここでようやく世界的な大成功を収めて、裏方稼業から脱却するわけだけれども、それでもやっぱり“10ccの”グレアム・グールドマンって言われちゃうわけで…。

でもまあ、この人には、こういう立ち位置が一番似合っているような気がしますけどね。


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| Heavy Rotation | 23:46 | comments(6) | trackbacks(1) | pookmark |
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コメント
こんにちは。
私がイギリスの音楽に興味を持つきっかけを作ったのが10ccのウォールストリートシャッフルでした。

グレアムが作詞に手を入れると、言葉遊びが入ったり味のあるものになったそうですが…。

ロル・クレーム好きな私は、現在「10cc=グレアムとその仲間たち」で活動しているのに違和感というか、納得できずにいます…。
そう思っているのはきちんと評価していない証拠かもしれません。
| rosalyn | 2012/01/22 2:09 PM |
こんばんは♪
『グレアム・グールドマン』初めて知りました。
「Bus Stop」は、この方が楽曲提供されていたんですね。

ブリティシュ・ロックは大好きですが、知らない
ミュージシャンの方が多いので、pandaboyさんからの
影響で素晴らしいミュージシャンを知ることができて、
本当、感謝しています。
「ザ・グレアム・グールドマン・シング」amazonで視聴して
みましたが、ニッキ―・ホプキンスの「夢見る人」を
初めて聴いた時と同じくらい気に入ってしまい、早速、
注文しました。

音楽をはじめ、興味の対象が過去へと遡るモノの方が多い
のですが、60〜70年代の音楽は、私の心に響くというか、
切なくなる楽曲が多くてやっぱり良いですね。

今年もpandaboyさんのおかげで、刺激的な音楽生活が
送れそうです♪

| メロディー | 2012/01/22 6:39 PM |
rosalynさん

>きっかけを作ったのが10ccのウォールストリートシャッフルでした
僕も10ccは早い時期から聴いていて、実はキンクスよりも付き合いは長いです。
ファーストアルバムの、あのコミックバンドみたいな、しょーもない脱力感が大好きでした。

>グレアムが作詞に手を入れると…
レイ・デイヴィスみたいな顔した人が言葉遊びをしても、全く違和感ないですが、グレアムみたいな端正というか、真面目そうな顔した人がああいう歌詞を書くと違和感ありありですね。
グレアムって、けっこうなムッツリ○○なんでしょうか?

>ロル・クレーム好きな私
初期の10ccは、ロル・クレームの、あのファルセット・ヴォイスがあって初めて成り立っていたようなところがありましたからね。
エリック・スチュワートも、最近の10ccのベスト盤がグラハムの曲に偏っているとか言って怒ってたみたいだし、rosalynさんのおっしゃることは的を得ているみたいですよ。
| Pandaboy | 2012/01/23 12:12 PM |
メロディーさん

自分の紹介したミュージシャンやアルバムを気に入っていただけるのは、こういうブログを書く者の喜びですね。
名盤なのに知られていないとか、不当に評価の低いミュージシャンとかを取りあげるというのも、今後のうちの裏テーマとして継続して行きたいと思っています。

>60〜70年代の音楽は、私の心に響く
僕の好きな音楽の名言(?)に『ひとは生まれた頃の音楽が一番面白い』というのがあって、僕なんかはまんま当てはまってます。
いやいや、これをメロディーさんに当てはめるのは失礼この上ないのですが、でも、生まれた頃とか生まれる以前の音楽に、誰もがある種の郷愁を感じるというのは、それは自然なことなのかもしれません。
| Pandaboy | 2012/01/23 12:15 PM |
このアルバムは学生の時に中古レコード屋さんに教えてもらったアルバムで、試聴して速攻で気に入りました。気に入るまでは速攻だったのですが、レコードは高くて買えませんでした(爆) その後現在に至るまでCDで堪能しています。

プロデュースを担当したジョン・ポール・ジョーンズも裏方から後に世界的なバンドの一員になった人物。お互いに陽の目を見ない同士、しかし才能を認め合っての共同作業でしょうか? 不思議な縁ですね。
残念ながらボーカルの質はパンダさんもおっしゃる通り弱いですね。ストリングスのアレンジも素晴らしいだけに余計に目立ってしまう…。

ちょっと古いエントリですが、前のブログからTB飛ばしました!
| いたち野郎 | 2012/01/25 1:56 AM |
いたち野郎さん

TBありがとうございました。以前にアルバム紹介されてたんですね。

>プロデュースを担当したジョン・ポール・ジョーンズ
確かにこの辺の人脈を探って行くと、当時のブリティッシュ・ロック界が、裏ではどのように繋がっていたのかが分かって面白いでしょうね。
ツェッペリンと10ccなんて、普通じゃ絶対に結びつかないですもん。

いたち野郎さんの記事を読んでたら、クラプトンが僕のと同じ口調で「こんな曲やりたくねぇ」と言ってるのに笑いました。
それからコメント欄では、POPOSUKEさんまでがこのアルバムのヴォーカルに疑問符をつけていて、こんな3人からダメ出しされてしまうグールドマンが、いささか可哀想になりました。
| Pandaboy | 2012/01/25 12:51 PM |
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珠玉の名曲集 Graham Gouldman「The Graham Gouldman Thing」
JUGEMテーマ:音楽&nbsp; 前回のポルナレフ公のアルバムで二人期10cc…みたいなことを書きましたが、そのとき在籍していたのが名ソングライターのグレアム・グールドマンです。10ccというと実験チームと正統派ポップチームの二つに分かれると言われますが、彼は
| 4番、サード、 いたち野郎 | 2012/01/25 1:43 AM |