すると、じゃあそもそも「グレアム・グールドマン」って誰?って話ですが、まあ、名前の前に形容詞的に付け加えるならば“10ccの”っていうのが一番妥当ですかね。 これなら知ってる人はぐっと増えますね。 あと、その他にいくつか思いつくのは“ヤードバーズの「For Your Love」を書いた”とか“ホリーズの「Bus Stop」を書いた”とか、あと、もちろん10ccの「I'm Not In Love」も書いている。 だから、60年代から70年代にかけてのブリティッシュ・ロックでは、結構な重要人物のはずなんだけれども、どうでしょうね、あまり単独ではピンと来る人も少ないような気がします。
クラプトンが「こんな曲やりたくねえ!」と言って、彼のヤードバーズ脱退の引き金になった「For Your Love」とか
そもそもこの「For Your Love」という曲にしても、最初はグールドマンが自分のバンドのために書いたものだったのにレコード会社から却下されて、それで仕方なしにヤードバーズに譲ったら、これが全英3位、全米6位の大ヒットになったんだから、グールドマンの運の無さというのは推して知るべしと言うべきですね。
それからハーマンズ・ハーミッツが66年にヒットさせた「No Milk Today」であったり、ウェイン・フォンタナが67年にヒットさせた「Pamela,Pamela」。 あと、あまり売れなかったけれども66年にシェールが出した「Behind The Door」など、60年代後半のイギリス音楽のエッセンスがギュギュッと詰まった隠れた名盤がこれであります。
キンクス日和的に書くならば、ちょっと陰のある『Face To Face』とか、ひねくれてない『Something Else』という感じでしょうか?ちょっと強引かな? あまりビートは利いていないけれども、終わりを迎えつつあるスウィンギング・ロンドンを象徴するような、哀感ただよう楽曲の数々は、いま聴いても心に響く。