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Village Green 全曲解題8「Do You Remember Walter ?」
 ウォルター、世界がまだ若かった頃のことを覚えてるかい?
 女の子がみんな君の名前を知ってた頃のことさ
 ウォルター、僕らの幼い世界が変わってしまったのは残念だね
 覚えてるかい、ウォルター
 雷雨の中でクリケットに興じたことを
 覚えてるかい、ウォルター
 君んちの庭木戸に隠れて煙草を吸ったことを
 そう、ウォルターは僕の相棒だった
 なのに、ウォルター
 昔っからの僕の友達
 君は今どこにいるんだい?

 ウォルターは名の通った奴だった
 ウォルター、僕らの幼い世界が変わってしまったのは残念だね
 覚えてるかい、ウォルター
 世の中と戦って自由を得るんだと言ったことを
 お金をためて船を買い、海に出るんだと夢見たことを
 でも、それは叶わなかったね
 僕が知っているのは、あの頃の君だけ
 今の君はどうしているか、教えてくれないかな?

 ウォルター、君は遠いあの頃から僕を呼ぶ“こだま”なんだ
 僕に会っても、名前すら出てこないんじゃないのかい
 君は太って、結婚もして
 いつも8時半には寝床に入っていたりするのかな
 きっと昔のことを話しても、君は退屈するんだろうな
 そして何も言ってはくれないと思う
 そう、人は変わってしまうからね
 だけど、思い出は残るものなんだよ


前回(Starstruck)のお話の続き。
主人公はいま、ロック・ミュージシャンとして、狂乱とも言える日々の中に身を置いています。

ナンバーワン・ヒットを出してから生活は一変。グルーピーに追いかけまわされ、ツアーの連続で、明日の今頃に自分がどこにいるのかも分からない毎日。その一方で、音楽産業の裏側が見え始めて、自分の曲さえ聞いたことのないマネージメントが、莫大な金を受け取る理不尽さに疑問も抱き始めています。

そんな時、ふと思い出した旧友の名前。
彼の名はウォルター。

さて、ではそのウォルターとは、一体何者なのでしょうか?

キンクスの伝記本「ひねくれ者たちの肖像」を書いたジョニー・ローガンは、その同じ本の中で、ウォルターとはすなわち『大人になったデヴィッド・ワッツである』という認識を披露していました。
僕はこれは、けだし卓見であると思います。

歌詞の中の『女の子たちはみんな彼の名前を知っていた』という表現を見てもらえば想像のつく通り、ウォルターは子供の世界の名士であって、仲間内の人気者であったはず。
学校で一番の成績で、チームのキャプテン。
だけどムチャクチャ明るくて良い奴。
近所の女の子はみんな彼をデートに誘おうと狙っているけどうまくいかない。
そんな少年であった可能性は非常に高い。

ということは、すなわちウォルターはデヴィッド・ワッツその人。或いはその人とまではいかないまでも、デヴィッド・ワッツ的なキャラクターの持ち主であったことは、ほぼ間違いのないところでしょう。



 僕は鈍くて単細胞
 水とシャンパンの区別もつかないし
 女王陛下に会ったこともない
 あいつが持ってるすべてが欲しいよ
 デヴィッド・ワッツみたいになりたいなあ

 頭を枕に乗せて横になり
 デヴィッド・ワッツみたいに戦う姿を夢に見るんだ
 チームを勝利に導いて
 試験も全部パスする夢をさ

 デヴィッド・ワッツみたいになりたいなあ
 デヴィッド・ワッツみたいになりたいなあ

 あいつの成績は学校で一番
 あいつはチームのキャプテンで
 陽気で自由奔放に振る舞っている
 あいつのお金が僕のものだったらいいのになあ
 デヴィッド・ワッツみたいになりたいなあ

 近所の娘たちは
 みんなデヴィッドとデートしたくて
 ベストをつくすけど上手くいかない
 だってあいつは純粋でお育ちのいい坊ちゃんだから

 あんな風になれたらいいな
 あんな風になれたらいいな


すると、彼に憧れていた『水とシャンパンの区別もつかない』ダサい少年こそが、この曲の主人公にして、「Village Green 〜」アルバムの語り手である、という憶測も十分に成り立つことになります。
もちろん、そんな記述はどこにもないけれども、そのように考えて行くことによって、レイ・デイヴィスの世界観というものが、また一気に広がっていくではありませんか。


それにしても、この「Do You Remember Walter ?」で歌われる、この何とも言えない喪失感はどうでしょう。
軽快なメロディーで歌われているため、曲として聴いている限りでは、それ程の重苦しさを感じることはないものの、改めて歌詞だけを読んでみると、切なさの度合いは大きさを増します。
僕はしかし、多くの人がこの曲に感情移入出来てしまうのは、まさにこの「喪失感」によるものだろうと思っています。
というのは、やはりそれは、失われた過去に対する想いというものは、大人になってしまった人々すべてに共通する感情であるからです。
大人になって、関係が希薄になってしまった友人への想いを、誰にでもひとつやふたつはありそうなエピソードを交えて描き出す。
アルバム中の「Village Green」でも試みられた、過去と現在を鮮明に対比させて、リスナーの郷愁を呼び覚ますテクニック。僕はレイ・デイヴィスのこうした手法に、彼のストーリーテラーとしての巧みさを強く感じます。


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| VillageGreen全曲解題 | 19:45 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
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コメント
ご無沙汰しております。またしても久々の降臨ですが、数日かけて現在までの解題をひと通り読ませていただきました〜! アナベラとフェノメナール・キャットの関係というか共通性はなるほど、と思いまして、これらの寓話性を自分で感じることができれば、アルバムにさらなる奥行きを見出すことができそうです。

そして、ウォルターはこのアルバムでも1,2を争う好きな曲です。「ひねくれ者たちの肖像」でそんなことが書かれていましたか。すっかり忘れていました。レイは徹底して過去に目を向ける人なんだなと、この曲の歌詞を見て改めて思います。「だけど思い出は残るものなんだよ」という最後のニヒルな言葉は、個人的にずっと気にし続けている曲「写しあった写真」とどこかリンクするものがありそう…。
| いたち野郎 | 2012/05/07 1:20 AM |
お久しぶりです。
暖かくなってまいりましたが、いかがお過ごしですか?

先日、尼崎で開催された、ロジャー・ダルトリーのコンサートに行ってきました。

開演前、you really got meが流れ、ちょっと驚きました。
他にも、「これ流して良いの?」というそぶりをしている方が。

ロジャーの声は昔と変わらずパワフルでお元気でした。
それが、メンバーのドラッグを捨てたり、体を鍛えていたりした成果かなと納得しました。

Pandaboyさんの記事、拝見いたしましたが、Wicked Ann abellaが好きですので、面白かったです。

ウォルターは、どうも悲しくなるので、すすんで聞かないです。
途中まで記事を読み、考えていたら、その考えていたことがそのまま書いてありました(笑)

どうしても中学の転校前にやっておけば良かったと後悔していることがあるので…。

長文失礼いたしました。
| rosalyn | 2012/05/08 12:35 AM |
いたち野郎さん
いつもありがとうございます。

>現在までの解題をひと通り読ませていただきました
ここだけの話、この企画の発端は、あの「Preservation機Ν供廚髻▲好函璽蝓爾謀困辰憧嫋泙靴討澆燭蕕匹Δ覆襦というものだったので、物語として書かれていない「Villege Green」の読み解きは、実は深く考えてなかったのです。
いざ取り掛かると、超絶難しくて、ほとんど泣きたい心境です。

>「ひねくれ者たちの肖像」
そんなわけで、この本と「X-Ray」、あと原書でもってるキンクスの本やらアルバムの解説なんかを参考にしながら、ボチボチ書いてる次第です。

>「写しあった写真」
「写しあった写真」には、写真つながりで「ピクチャー・ブック」なんかもリンクするでしょうし、アルバム全体がひとつの世界を作っているなという印象は、聴きこむほどに強くなりますね。

この後も泣きながら書きますので、どうかお手柔らかに読んでください。
| Pandaboy | 2012/05/10 11:57 AM |
rosalynさん
お久しぶりです。コメントありがとうございます。

>ロジャー・ダルトリーのコンサート
あれ行きましたか!
ロジャーは僕大好きなんですけど(実際ピートより好きかも)、今回は見送りました。
しかし、開演前に昔のキンクスが流れるのって、ちょっと微笑ましいですね。
ロジャーは、レイに憧れていたピートと違って、「キンクスなんかぶっ飛ばしてやる」くらいに思ってたと推察しているんですけど、ホントのところはどうなんでしょう。

>ウォルターは、どうも悲しくなるので
歌詞を噛みしめながら聴くと、悲しいというか切ないというか、複雑な気持ちになります。
それは、みんながそれぞれ
>中学の転校前にやっておけば良かったと後悔
というような想いを、心のどこかに秘めているからなんでしょうね。
| Pandaboy | 2012/05/10 11:58 AM |
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