CALENDAR
S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< March 2017 >>
ARCHIVES
CATEGORIES
amazon
キボウのカケラ
LinkShare
アフィリエイトならリンクシェア
MOBILE
qrcode
SPONSORED LINKS
<< Village Green 全曲解題13「Animal Farm」 | main | Wintertime Love >>
スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | - | pookmark |
Village Green 全曲解題14「The Village Green Preservation Society」


 僕たちは村の緑を守る会
 神さま、ドナルド・ダックを
 ヴォードビルやバラエティーをお守りください

 僕たちは「やけくそダン」鑑賞会
 神さま、苺ジャムや
 いろんな品種のジャムをお守りください

  古いやり方を見直してごらん
  そこに僕らの新しい生き方があるから
  ほかに何か出来ることがあるかい?

 僕たちは生ビールを守る会
 神さま、ミセス・モップと
 老母ライリーをお守りください

 僕たちはカスタード・パイ賞味会
 神さま、ジョージ十字勲章と
 その受章者たちをお守りください

 僕らの英語はシャーロック・ホームズ訛り
 神さま、フー・マンチュー博士やモリアティー教授
 ドラキュラ伯爵をお助けください

 僕たちはオフィスビル排斥同盟
 神さま、小さなお店や
 チャイナ陶器や処女性をお守りください

 僕たちは摩天楼建設反対連盟
 神さま、チューダー朝の屋敷や骨董机
 ビリヤードをお守りください

  古いやり方を見直してごらん
  そこに僕らの新しい生き方があるから
  ほかに何か出来ることがあるかい?

 神よ!村の緑を守り給え


今回はちょっと英語のお勉強みたいになるので、中にはアレルギーを起こされる方もいらっしゃるんじゃないかと、ちと心配にはなりますが、それでもこの曲を読み解くカギは、ブリッジ部分で歌われる

 Preserving the old ways from being abused
 Protecting the new ways for me and for you

このわずか2つのセンテンスの訳し方にかかっていると思うので、どうぞ途中で投げ出さずにお付き合いください。


と、前置きをしておいて、ここからが本題になりますが、
僕はこれを長い間、「昔ながらの慣習を、新しいやり方から守るんだ」といったように解釈してきました。
つまり、古いのは「善」であって、これを踏みつけにする新しいのが「悪」という対比ですね。
実際、今まで目にしてきた資料などでも、そうした意味合いに訳されていることが多かったように記憶していますし、僕と同じように感じていた方も、意外と多いんじゃないかと思います。

と言うのも、やはりアルバムが制作された1968年という年は、ジミ・ヘンドリックスの『エレクトリック・レディ・ランド』や、クリームの『クリームの素晴らしき世界』、スモール・フェイセスの『オグデン』といった作品に象徴されるようなサイケデリック、あるいはディープ・パープルやレッド・ツェッペリンのデビューに見られるような、ハード・ロックの勃興期であって、どうしたって新しいものがもてはやされる時代。
そこに“偉大なるひねくれ者”たるレイ・デイヴィスが、一石を投じたんじゃないか、という思い込みですね。

だけど、歌詞の英文を素直に読むならば、この解釈はちょっと違うんじゃないか?
特に2行目の「Protecting the new ways for me and for you」という部分。
“新しいやり方から守る”のであるならば、「Protecting」と「the new ways」の間に、「from」ないしは「against」あたりが入るべきなんじゃないだろうか?
(もっとも、それだと韻律的におかしくなるので、それは行間に潜ませてあるのだ、と言われればそれまでですが)

何れにしても、あのレイ・デイヴィスが、ただ単に「古いものを守りましょう」とだけを言いたかったとは思えない。


そこで、僕は昨年の7月に「Village Green Preservation Societyと節電の夏」というエントリーを書きまして、この歌詞を新たに次のように解釈しました。

 古いしきたりを粗末にせずに
 新しい流儀も守り育てよう
 僕と君のために

これは「Preserving the old ways」
並びに「Protecting the new ways」なので、「古いものを保護する」と同時に「新しいものを守る」という意味。

あの記事を読み直していただければお分かりのように、まあ何しろ当時は震災から4ヶ月しか経っておらず、日本中が今以上に節電モード一色だったものですから、“すだれ”や“扇子”といった古いもの、これを大切に見直して、だけどエアコンのような電力を消費する新しいものも、「悪」と決めつけずに守って行こう。
そのように解釈して記事にして、その時には自分なりに満足はしていたんですが、それでも後々思い返してみると、何か腑に落ちないものがある。

それで更に考えて考えて…
いや、実はこの「Preservation全曲解題」のシリーズを書き始めるにあたっても、普通はオープニングの、このタイトルソングから書き始めるのが筋だとは思ったものの、その時点でもまだ良い解釈が思いつかなくて。
仕方がないので、こんなバラバラに曲を紹介していくという、変則的な形を取ったのも、実はそのせいだったりしたりして。


そんなこんなで色々と考えて、いっそのこと初心に帰って「new ways for me」を、ごく単純に訳してみたら、これが「僕のための新しい道」。

で、そこから一気にイメージが広がりまして、遂に訳出したのが上記の歌詞です。
直訳だとどうにもリズムが悪いので若干形を変えていますが、これをもう少し突っ込んだ表現にするならば
「今ではないがしろにされている、古い慣習や伝統、これを保護していこう。そうすることで、僕や君のための新しい道が拓けるから、それを大切に守っていこう」

僕が行き着きた最終的な結論はこういうことでありまして、これを別の言葉で表すならば
「故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る」となる。
つまり、レイ・デイヴィスの言う「Village Green Preservation Society」とは、すなわち「温故知新」ではなかっただろうか。


2012年の日本に目を転じれば、昨年の原発事故以来、脱原発・卒原発ということが盛んに言われているけれども、では原発の稼働を止めたとして、これに代わるエネルギー源をどうするかというと、これが「再生可能エネルギー」なのだという。
この再生可能エネルギーとはつまり、太陽光とか、水力、風力、地熱といったものであるわけだが、その実現性や是非はひとまず置くとして、これらというのは紛れもなく「昔からある」ものたちですよね。
ということは、古いやり方を見直してみたら、そこから新しい道が拓けるかも知れない、というVillage Greenの思想が、今まさに世界中に広がりつつあるってことじゃないか、という気がします。


1968年。
同時代のアーティストはもとより、世界中の多くの人々が、こぞって目先の革新に夢中になる中、遥か50年後を見据えて、逆に古いやり方に目を向けようと歌うミュージシャンがいた。
リリース当初『Village Green Preservation Society』が売れなかったというのは、だからレイ・デイヴィスが先を行き過ぎていたんでしょうね。
でも、当時最新のサージェント・ペパーズ・シンドロームとか、サイケデリックといったものに、今ではどうしても時代を感じてしまうのに対して、Village Greenは普遍的であり続けている。

別にファンだから言うわけじゃないけど、あの時代にこんな歌を作ったレイ・デイヴィスって、やっぱりスゲーなーって思います。


いつもありがとうございます!
↓ 励ましの1日1クリック ↓ ★お願いします★
にほんブログ村 音楽ブログ ロックへ

↓ 出来ましたらこちらのほうも↓ ★お願いします★

| VillageGreen全曲解題 | 20:20 | comments(6) | trackbacks(0) | pookmark |
スポンサーサイト
| - | 20:20 | - | - | pookmark |
コメント
こんにちわ、
実は、私はキンクスについては全く知らないので、
歌詞の全体、アルバムの全体から考えることは出来ないのですが、
上の、ブリッジの2行だけだと、
私と貴方にとっては未知の新しい方法である、嘗ての古い方法を
誤って使われることから守ろう、
と、読めると思います。
| ノエルかえる | 2012/12/03 11:54 PM |
ノエルかえるさん
コメントありがとうございます。

>未知の新しい方法である、嘗ての古い方法を〜守ろう
やはり「新しいものは悪い」という意味には取られてませんね。
この解釈もとても素敵で、いずれ何かの折に使わせてもらたいです。

そもそも送り手から発せられた全ての表現というものは、受け手の感性によって完結すると考えるので、歌詞の意味ひとつとっても、人により様々な解釈が成り立つと思います。
この曲の歌詞もまた然り。

僕も別にキンクスに「格言」みたいなものを求めているわけじゃありませんが、何かそこに今を生きるヒントみたいなものが見いだせれば嬉しいなと考えています。
| Pandaboy | 2012/12/04 12:07 PM |
とてもおもしろかったです。語学力の足りない私は、付属の訳詩で満足しちゃうことが多いのですけれど、やっぱり、こうしてじっくり聴くべきですね。でも、やっぱり私には語学力と根気が欠け過ぎなので、これからも楽しみにさせてもらいます。本当にいい曲ですよねー。生で聴きたいです。
| ぴょん | 2012/12/04 8:48 PM |
ぴょんさん

僕も語学力は足りないので、こんなことするのはキンクス関連だけです。
それも記事にするのに、泣く泣く訳してます。辛いです。

だけど、何でこんなことをしているのかと言うと
>とてもおもしろかったです
という、みなさんにこう思って欲しいからなんです。
だから、ぴょんさんのこのコメントはとても励みになります。
ありがとうございます。

それにしても、本当に良い曲ですよね!
| Pandaboy | 2012/12/04 10:53 PM |
事後ですみませんが、ツイートで引用させていただいちゃいました。
もし不都合があったら削除しますので、お手数ですがその旨お返事いただけないでしょうか。
事前に確認しろよ!って感じですが、訳詞シンプルでとてもしっくりきたので思わずつぶやいてしまって、後であっと思ったもので…。
https://twitter.com/Kitty_Thunders/status/614110095908171776

"protecting the new ways" の解釈、すごく共感しました。
僕ははじめ聴いてて "detecting the new ways" だと思ってて歌詞カード見たら "protecting" ってなってたんでアレ?って思ってたんですよね。

やっぱり僕もレイが簡単に新しいやり方を拒否するなんて歌ってるとは思えなくて。

でもこの解釈読んで、すごくすっきりイメージが通った気がします。
| Kitty Thunders | 2015/06/26 2:18 AM |
Kitty Thundersさん
お返事遅くなりました。

不都合なんてとんでもない、自分としては全然OKです。
そもそも僕も、レイ先生に無断でこういうのやってますので。

それにしても、自分なりの解釈に共感していただけるのはとても嬉しいです。
僕としては絶対の自信を持って書いているのですが、いかんせんアルバムの歌詞カードや何かとは、若干違ってたりしますのでね。

古い記事を見つけていただいて、ありがとうございました。
他にも気になるのがありましたら、ドンドン引用しちゃってください。
| Pandaboy | 2015/07/04 8:25 PM |
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://kinkysound.jugem.jp/trackback/317
トラックバック