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Preservation Act1 全曲訳3「Sweet Lady Genevieve」
 あの紅の空の下
 永遠に君を離さないと誓ったね
 だけどそれは風来坊の戯言だ
 すぐに君を悲しませることになるなんて
 夢にも思わなかったよ
 許しておくれジェネヴィーヴ

 君に会いに戻ったよ
 愛しのジェネヴィーヴ
 今度こそ君を守ると約束するよ
 僕の元に帰っておくれ
 愛しのジェネヴィーヴ

 愛しておくれ
 その腕を僕に差しのべて
 強く抱きしめたいのさ
 僕を信じて
 悲しみを笑い飛ばすんだ

 もしも君が戻ってくれるなら
 愛しのジェネヴィーヴ
 僕はもう今までのような馬鹿はしないさ
 いつも君を傷つけていた
 それは遠い昔のことなんだ
 愛しのジェネヴィーヴ

 愛しておくれ
 その腕を僕に差しのべて
 強く抱きしめたいのさ
 僕を信じて
 悲しみを笑い飛ばすんだ

 夏の夜の満天の星の下
 飲み過ぎた僕は 君を騙してしまったね
 君の内気さに付け込むなんて僕はなんてずるい奴
 許しておくれジェネヴィーヴ

 僕のところに戻ってくれないか
 愛しのジェネヴィーヴ
 君は無邪気な少女じゃないし
 僕も昔のごろつきじゃない
 僕の元に帰っておくれ
 愛しのジェネヴィーヴ

 ああ、ジェネヴィーヴ


ロック・オペラとして、物語性を意識して書かれたこの「Preservation Act1〜2」各曲の歌詞には、その歌い手となるキャラクター名が併記されています。
ただ、これまでに見た2曲については、曲自体が状況説明、いわゆるナレーション的なものであったため、キャストとしての歌い手は存在しませんでした。
しかし、この3曲目に至って、ようやく一人の人物が登場してきます。それがこの曲の主人公“Tramp”です。
日本語にすると“放浪者”あるいは“無宿者”的な意味合いになるでしょうか。

歌詞の言わんとするところから察するに、かつて愛した女性を裏切って村を離れ、各地を放浪したものの、やはりその女性(ジェネヴィーヴ)を忘れることができずに、舞い戻って来た流れ者、といった役どころのようです。
ただし、彼はこの1曲に留まらず、この後の数曲でもソロを任されていますから、ひょっとするとアルバム全体の進行を司る、一種の狂言回し的な役割を担わされているのかも知れません。

さて、ところで「Preservation」のこのシリーズが、あの「Village Green Preservation Society」の続編であるということは、キンクスファンであれば誰もが知っている有名な話です。
ということは、本作で一番はじめに登場する、このTramp氏についても、Village Greenにおける何がしかのキャラクターを引き継いでいるものと考えられます。

では、それは誰なのでしょうか?

これは、やはりこの男は、Village Greenの主人公、村を飛び出して、また舞い戻り、恋人と一緒に川辺に座って、平和な日々を謳歌した、あの青年であると考えるのが自然だと思います。

以前に書いたVillage Greenの考察の中で、僕はあのアルバムの主人公は、Lola vs Powermanの主人公の青年と同一人物に違いないと考えました。
なぜなら、この二人の主人公には、作者であるレイ・デイヴィスのキャラクターが、色濃く投影されているからです。
同じように、PreservationにおけるこのTrampも、レイ・デイヴィスの分身であるとみて間違いないでしょう。
それは、以下に挙げる各種の資料から明らかになります。


レイは空き時間をすべて使って<プリザヴェイション>のアイデアを練り直していたが、働きすぎの重圧から彼のエネルギーはだんだんと衰えていった。レイ・デイヴィスの平均的な一日は、普通のロックスターならまず縁のない時間にはじまった。起床は朝7時、生卵の朝食をとり、何時間か仕事をし、終わるとしばらくベッドに戻る。それからの行動はもっと奇妙だった。
「それからぼくはまた起きて、ちょっぴり不安になって涙を流し、その不安を頭の中から追い払って、もう少し仕事をやろうと努力する。一日は本当にあっという間だったね」
(ジョニー ローガン著/野間けい子訳「ひねくれ者たちの肖像」)

膨大な数の新曲を書き、それを磨くために連日徹夜していた。ラサは彼を見て言った。「なぜ、そんなに根を詰めるの。あなたがしなきゃならないのは演奏だけよ」(中略)1973年6月20日、スタジオで一日過ごして家に帰ると、ラサと子供たちがいなかった。メモにはただ「出て行きます。連絡は弁護士にしてください」とだけあった。
(レイ・デイヴィス著/赤塚四朗訳「X-ray」)

レコーディング中、あの曲をグシャグシャになって泣きながら歌っているレイの横でハーモニーをつけるというのは、僕にとっては、本当に辛い作業だった。もう見てられなかった、いたたまれなくなって逃げ出したい気分にすらなったよ、でも、レイは最後まで歌うって言い張ったんだ − デイヴ・デイヴィス
(小松崎健郎「ヴィレッジ・グリーン・プリザベイション・ソサエティDXエディション2004」解説)


1973年6月、「Preservation」の制作に没頭するレイに愛想を尽かし、彼の最初の妻ラサは、ふたりの子供を連れて家を出てしまいます。
落胆したレイは、自殺を図ろうと試みたり、ステージ上から音楽業界を引退すると発表したりと、様々な形でもがき苦しみますが、彼の家族は再び元に戻ることはありませんでした。

振り返って「Sweet Lady Genevieve」でのレイ・デイヴィスの歌唱を聴けば、彼がデイヴの言うように、泣きながら歌っているのがはっきりと分かります。
Trampも、レイも、共に愛する人に去られた悲しみを嘆き、戻って欲しいと訴える。つまり、曲中で許しを乞うTrampは、現実世界のレイ・デイヴィスそのものだということです。

レイ・デイヴィス=Village Greenの主人公=Tramp(及びLolaの主人公)

僕は「Village Green」から「Preservation」に至る物語世界は、レイを中心にした、一種のパラレル・ワールドを構築していると見ていますが、いかがでしょうか?

1968年、愛する妻と幼い二人の娘に囲まれた平和な家庭を、「Village Green Preservation Society」という精巧な箱庭に模して造り上げたレイでしたが、その5年後、平穏な箱庭は自らの仕事中毒によって粉々に砕け散ってしまいました。
彼はSweet Lady Genevieveを歌って、涙ながらにラサに許しを乞いますが、それが叶わないと知るや、今度は一転して、かつての安息の場であったVillage Greenを破壊しようと試みるのです。


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