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お日様とぶどうパン


秋分の日を過ぎて、空にうろこ雲が広がり始めたら、そろそろ「Autumn Almanac」を聴いて、気持ちを秋モードに切り替えなければなるまい。
そして、その次に『Something Else』の全編を聴いて、来るべき冬に備えなければなるまい。
なぜなら、それが僕の秋の歳時記だから、ラララ…

というわけで、このほどその手始めとなる、毎年恒例「Autumn Almanac」の聴き初めを行ったのであります。

いや、実際にはこれは、秋といっても枯葉が黄色く舞い落ちるような、もっともっと冬に近い秋、多分11月くらいの風景を歌い込んだものと思うので、いま聴くには少し早すぎるきらいはあるのだが、まあこの際それは置いときます。

ともかく曲を聴いたらですね、今までは気にも留めなかった、歌詞の中のひとつの単語が、僕の意識にコツンとぶち当たってきたのです。
それは何かというと、これが“Currant Bun”という言葉なのですね。
単純に訳すと“ぶどうパン”ということになるのでしょうか。

何でまた僕がこれに引っかかったのかと申しますと、前回の記事で訳した「Sitting In The Midday Sun」の歌詞。あの中にも同じくこの単語が登場していて、そして僕はその言葉の解釈に、少々手こずらされたからなのです。


さて、いきなりですが、ここでお話は“Currant Bun”から一旦逸れまして、ロンドンの“コックニー訛り”にひとっ飛びします。

コックニーというのは、ご存じのようにロンドンの下町言葉で、イーストエンドの労働者階級が好んで使っていた、一種の方言のようなものですね。
厳密には、ロンドンの「セント・メリー・ボウ教会」の鐘の音が聞こえる範囲で生まれ育った、生粋のロンドンっ子が使う言葉だそうですが、ただ、方言といっても、そこには言葉遊びみたいなスラングも含まれているので、部外者にはとてつもなく分かりにくい。

以前、レコードコレクター誌のキンクス特集の中で、ピーター・バラカン氏が語っていたところによると、例えばコックニーで(アップル)という言葉は、(リンゴ)ではなくて(階段)を表すんだそうです。
なぜなら、リンゴといえば梨なので、Apple & Pears(リンゴと梨)→ PearsはStairs(階段)に語感が似ている。だからアップルは階段。

同じようにBacon & Eggs(ベーコンエッグ)はLegs(脚)
Central Heating(セントラルヒーティング)はMeeting(会議)
最近ではBritney SpearsはBeers(ビール)ということになっているらしく、「ブリトニー飲みに行こうぜ!」と言えば「ビール飲みに行こう」という意味になるとか。

キンクスで言えば、『Something Else』の中に「Harry Rag」という曲がありますけれども、これもRagはFag、すなわち(紙巻き煙草)ということで、煙草好きの男について歌った曲なんですってね。

まあとにかくこんなのは、ロンドンの下町っ子ならぬ身の僕らには、辞書でもなければ分かりようもない。


さて、それで戻りまして“Currant Bun”について

「Autumn Almanac」の歌詞を見ると、これはこんな風に歌われています。

 Friday evenings, people get together
 Hiding from the weather
 Tea and toasted, buttered currant buns
 Can't compensate for lack of sun
 Because the summer's all gone.

 どんよりした金曜の晩
 そんな天気から隠れるように みんなが集まって
 紅茶と、バターを塗ったぶどうパンのトーストを楽しむ
 それでも日差しの弱さを紛らすことなんか出来ないさ
 だって夏は過ぎ去ってしまったんだもの

対して「Sitting In The Midday Sun」ではこんな風。

 Just sitting in the midday sun
 Just soaking up that currant bun
 With no particular purpose or reason
 Sitting in the midday sun.

 真昼の太陽の下に座って
 お天道様の光をいっぱいに浴びる
 目的とか理由とかそんなものはないよ
 ただお陽様の下に座ってるだけ

同じ“Currant Bun”という言葉を、「Autumn Almanac」では素直に“ぶどうパン”と訳しましたが、「Sitting In The Midday Sun」では色々と迷った末に“お天道様”と訳したのは、まさしく上に書いたコックニーのスラングに倣ったからです。

すなわち、コックニーでは、Bun(パン)はSun(太陽)に他ならない。

だけど、そうして考えてみると、「Autumn Almanac」だって、歌詞のこの部分では夏の太陽を恋しがっているのだから、太陽の暗喩として、レイ先生は敢えてあそこに“Currant Buns”という言葉を入れたのかも知れない。
逆に、「Sitting In The Midday Sun」だって、風来坊がひなたぼっこをしながら、ぶどうのパンをかじってる。もしくは“Bun”にはまた、イギリスの大衆紙の「The Sun」という意味もあるそうだから、ひなたぼっこをしながらタブロイド紙を眺めている、という解釈だって出来なくもない。

とまあ、そのように色々と思いを巡らせれば、“Currant Bun”という単語ひとつから、様々なイメージが広がるわけで…

以前にも何度か書いていますが、レイ先生の歌詞というのは、一見すると、とても平易な文章なんだけれども、その奥行きはとてつもなく広い。
割合に簡単な単語を使いながら、しかしその単語ひとつひとつを吟味していくと、思ってもない隠された意味が潜んでいたりして、だから、特に非英語圏の人間が、キンクスの世界観を解釈しようとしても、なかなか一筋縄ではいきませんね。
まあ、それがキンクスファンの、ある意味楽しみでもあるわけですが。


さて、まったくの余談ですが、コックニー訛りでは、“th”は“f”あるいは“v”となるというのを知りまして
するとこのビデオで



レイ先生が“free”と歌いながら、指を三本立てて“three”を表しているように見えるのは、これはやっぱりそういうつもりでパフォーマンスしているのでしょうか?
これ、長年の僕の疑問です。


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| Something Else | 21:23 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
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コメント
こんにちわ、
前の「Sitting In The Midday Sun」の記事を拝読して、
ああ! XTC の「Leisure」のベースになってるんだ、と思ったのですが。

 「 Currant Bun 」は、興味深いですね。一つ思ったのは、焼けたアツアツのブドウ粒入り丸パンは、太陽のイメージそのままなのかもしれない、と言うことです。丸い太陽には、黒点がいくつかあって、干しぶどうに見えますから。その上で、光を降り注いで生命のエネルギーの源である太陽と、人間の活力源になる食料のブドウ入り丸パンがイメージとして重ねられているのかも、と思いました。それに、「Autumn Almanac」では、夏の実りを象徴しているようなブドウが干されていると思えば、季節の移ろいを一語に凝縮している様に感じます。巧みな表現なのですね!
 The Sun は、失業者が仕事を探す時に見る新聞です。それも加えれば、複雑で多層なイメージになりますね。
| ノエルかえる | 2013/09/26 5:38 PM |
ノエルかえるさん
お久しぶりです。コメントありがとうございます。

なるほど、ぶどうパンのぶどうが太陽の黒点とか、太陽も食品も共に生命の源になるとか、干しぶどうによる季節の移ろい表現とか、ノエルさんのイメージの広がりは素晴らしいですね。

また、そちらのブログで「Leisure」の記事も読ませていただきました。
タブロイドのSUNが、失業した労働者階級の人達に、職探しがてら読まれていたという指摘は、大変興味深かったです。
あと、rice とace の音の連想という話が出て来ましたが、コックニーに限らず、こういうのを向こうの人は面白がるみたいですね。

いろいろと参考になりました。
| Pandaboy | 2013/09/27 9:59 AM |
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