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レイ・デイヴィスがメルトダウン・フェスティバルのキュレーターに

2004年、モリッシーがニューヨーク・ドールズの再結成に力を貸し、パフォーマンスの舞台として提供した場所がメルトダウン・フェスティバル。
また、2008年にはマッシヴ・アタックの求めに応じて、日本からYMOがこのフェスティバルに出演して話題となりました。

1993年から続くこのフェスティバルは、毎年一人の「キュレーター」と呼ばれるゲスト監督が選ばれて、その人が好きなアーティスト、紹介したいアーティストを選定し、全体のプロデュースを行うという、独特な形態で開催されるものです。
モリッシーやマッシヴ・アタックの他にも、過去にはデヴィッド・ボウイーやエルヴィス・コステロ、パティ・スミスといった人たちがこのキュレーター役を務めて、それぞれの感覚で好きなアーティストを選定し、出演させてきています。

そして、その2011年のキュレーターに選ばれたのがレイ・デイヴィス。
フェスティバルのサイト・トップには、早速レイ先生のドデカイ写真がバーンと飾られて、まさに来年は先生が主役であることが、大々的にアピールされています。Yeah!

先生は最近、様々なミュージシャンとのコラボ・アルバム「See My Friends」を出して、他者との交流を深めてきているだけに、フェスティバルでは一体どんなアーティストに出演を打診するのか、興味深いところです。
gurdianのインタビューには「2011年のフェスティバルは過去数10年を通した創造的な祭典にしたい。それは過去、現在、未来に通じる架け橋のようなものだ」と応えているところから、新旧のアーティストをとり混ぜた幅広い人選になるんじゃないかと思われます。


そもそも、このフェスティバル、テムズ川沿いの複合芸術施設、いわゆるサウスバンク・センターで開催されるもの。
するとサウスバンク・センターといえば、最寄はウォータールー駅、そして、あの「Waterloo Sunset」でテリーとジュリーが渡ったウォータールー橋もその地域に含むわけで、先生にとっては、まさにホームグランドでのビッグ・イベントということになりますね。

メルトダウン・フェスティバルの開催は、2011年6月10日から19日まで。
パフォーマンスの会場はロイヤル・フェスティバル・ホールや、クイーン・エリザベス・ホールといった格調高い場所なので、観客は着席のまま演奏を聴き、最後にはスタンディング・オベーションで喝采を贈るという、異色のフェスティバルみたいなんですが、レイってこういうの結構好きそうなんですよね。

ああ、来年の6月、何とかイギリス行けないかなぁ!


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| Around The Kinks | 19:15 | comments(0) | - | pookmark |
Rolling Stoneが選ぶ「偉大なるロックの確執ベスト11」

Rolling Stoneのサイトに載った、ロック界に名を残す「仲の悪いふたり」ベスト(ワースト?)イレブンという企画。
予想通りと言いますか、我らがデイヴィス兄弟も堂々の第5位にランクイン。

…ちょっと喜んでいいのか、悲しんでいいのか、分からない記事ですけど、まあ、どんな形であれ、メディアに取り上げられるのは嬉しいものです。


念のため、その11組を書き出しますと…

 1. ミック・ジャガー vs キース・リチャーズ
 2. ポール・サイモン vs アート・ガーファンクル
 3. スティーヴン・タイラー vs ジョー・ペリー
 4. ピート・タウンジェント vs ロジャー・ダルトリー
 5. レイ・デイヴィス vs デイヴ・デイヴィス
 6. ジョン・レノン vs ポール・マッカートニー
 7. ロジャー・ウォーターズ vs デイヴ・ギルモア
 8. ドン・エヴァリー vs フィル・エヴァリー(エヴァリー・ブラザーズ)
 9. ノエル・ギャラガー vs リアム・ギャラガー
10. アクセル・ローズ vs スラッシュ
11. エディ・ヴァン・ヘイレン vs デヴィッド・リー・ロス

おーっと、いづれ劣らぬ険悪そうなふたり組ですね。

ただ、これを見ればお分かりの通り、UK4大バンドは全部ランクインして、アメリカの大物も名を連ねるということで、するとバンドとして成功するためには、その内部にある程度の軋轢があったほうが、緊張感や刺激が生まれて良い方向に転がって行くということなんでしょうか?
そしたら、バンドやっている皆さん、大いにケンカした方が良いですよ!


ま、それはともかく、デイヴィス兄弟のところのコメントを読んでみます。
タイトルが「50年に及ぶ兄弟の憎しみ」となっていて、

レイとデイヴのデイヴィス兄弟は、60年代初めにキンクスを結成して以来、お互いを公然と非難し続けてきた。しかし近年、彼らの対立は特に険悪なものとなっている。
デイヴは最近、デイリー・メイルのインタビューに「レイはくそったれだ!」と言い放った。
「吸血鬼を知ってるだろう? レイは僕のアイデア、感情、想像力をそんな風に吸い上げるんだ。彼といることは、僕にとって害毒以外の何物でもない。彼は他人を支配したがる奴だから」
兄弟は1996年以来、一緒に演奏していない。そしてその状況はすぐには改善されそうにない。

という内容。

先日、僕のブログでも取り上げたデイヴのインタビュー記事が、相当なインパクトで受け止められているらしく、「兄弟の争いがますますエスカレートして再燃か!」といった感じで捉えられているみたいですね。

て言うか、ここまで書いてきて今気づいたけど、そもそも他人の不仲を面白がってないか? この企画。


まあ、リストの中には、レノン=マッカートーのように、互いに罵倒し合いたくても、すでにそれが叶わないコンビもいる訳で、それを考えれば、面と向かってケンカできるのも、ある意味幸せなことなのかも知れませんけどね。


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| Around The Kinks | 19:59 | comments(0) | - | pookmark |
レイ・デイヴィスのアメリカ・ツアーが延期に

Dave EmlenさんのUnofficial Kinks Web Siteも報じているニュースですが、11月24日から28日にかけて、ニューヨークやボストンなど4ヶ所を回る、レイ・デイヴィスの小規模なアメリカ・ツアーで、バックコーラスを担当するはずだった「the Dessoff Choir」のサイトが、直前のタイミングの今になって、これらのコンサートは全て延期されたと発表しています。

その理由として「due to illness」、つまり「病気により」と書かれているんですが、詳細は不明。
ちょっと気になりますね。

ただ、キンクス・オフィシャル・ファンクラブのフォーラムに投稿された、事情通らしい人物の書き込みによれば、レイは全然OKだよ!とのこと。
「ツアーはより大規模なものとなって、来春に延期されるだけだから心配しないでね」と言うことなので、まあ大丈夫なのかな?

レイは今後の予定として、12月9日に『Royal Variety Show』に出演。
チャールズ皇太子とコーンウォール公爵夫人(カミラさんのことね)の前で、パロマ・フェイスと一緒に「ローラ」を歌うことになっています。
この舞台までキャンセルということになれば、これはただ事じゃなくなっちゃいますが、とりあえず今のところは様子見というところでしょうか。

しかし、今回のニュースとは直接関係ないけど、イギリスでは王室の人の前でオカマの歌とか歌えちゃうのね。
つくづく寛容な国ですね。


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| Around The Kinks | 20:00 | comments(3) | - | pookmark |
アーサーを読み解く12 「Arthur」

 アーサーは
 ごく普通の労働者階級に生まれた素朴な男
 世の中は厳しくて
 人生は生まれながらに決められていたようなものだったけど
 若き日の彼は希望に満ち満ちていた
 権力を持った人たちに ずっとこき使われ続けても
 より良い人生を求めて
 境遇が上向くように一生懸命頑張ってきたんだ

 もしも人生がたやすいものだったなら
 ずっと愉快でいられたのに
 もっと平等で、誰もが満足できるものだったなら

 アーサー 君を置き去りにしたまま
 世の中は移り変わっていったんだ
 分かるだろう? 分かるよね?
 泣いてもいいんだ
 一晩中泣いても
 それでも何も変わりはしない
 分かるだろう?

 アーサー 僕たちは知ってるよ
 それに同情もしてるんだ
 分かるだろう? 分かるよね?
 アーサー 僕たちは君が好き
 君の助けになりたいんだ
 君を愛する者だっている
 そのことも分かっていて欲しい

 君の毎日はどんな様子だい?
 それに君のシャングリ・ラは
 安息の地は見つけられたかい?
 君の傍を通りすぎていった希望や栄光
 世の中の動きは見えるかい?

 君の子供たちが夕陽の中に船出して行く
 新しい地平に向かっているんだ
 そこは誰にでも開かれた場所

 アーサー
 ひょっとしたら、間違っていたのは世の中の方かも知れない
 分かるだろう? 分かるよね?
 アーサー
 恐らく初めから君が正しかった
 分かるだろう? 分かって欲しいんだ
 今や僕たちは君を知り、そして同情している
 君を助けたい、そして理解したいんだ
 分かるだろう?
 君を愛する者がいる
 分かるだろう?

 アーサー 君を置き去りにしたまま
 世の中は移り変わっていったんだ
 分かるだろう? 分かるよね?
 泣いてもいいんだ
 一晩中泣いても
 それでも何も変わりはしない
 分かるだろう?
 アーサー、僕たちは君を知りたい、そして理解したい
 アーサー、僕たちは君が好き、そして助けたい
 ああ、僕たちは君を愛してる、君の力になりたいんだ


アルバム最後の曲に至って、遂に「アーサー」という固有名詞が登場します。
僕のこの「読み解く」シリーズでは、便宜上、初めからこれはアーサー・モーガンという、労働者階級出身の人物がたどる個人史を、ドラマ仕立てにした作品であるという前提で話を進めてきましたが、実際のアルバムでは、このラスト1曲まで、物語の主人公がアーサーであるという事実は伏せられています。

だから、はじめてこの作品を聴く人は、アルバムの中に歌われる、ヴィクトリア女王崇拝の少年や、戦争で息子を亡くした母親、オーストラリアへの移住キャンペーン、チャーチル首相の演説などの、一見何のつながりもない断片的なエピソードが、全てアーサーという一人の男の人生における断章であったことを、最後の最後で知ることになります。

さて、ここで注目したいのは、レイ・デイヴィス、あるいは「we」と複数形で歌われているところからキンクスのメンバーが、主人公のアーサー・モーガン氏に「同情している」もしくは「共感を覚えている」と語りかけているという点です。
レイ・デイヴィスおよびキンクスが、一人の老人の人生にシンパシーを覚える、その理由とは何なのか。
その理由を探るために、ここでは改めてアーサー氏とはどのような人物だったのか、どのような人生を送って来たのかを、再度確認してゆくことにします。

アーサー氏が生まれたのはヴィクトリア朝末期。
幼いアーサー少年は、ヴィクトリア女王を心から尊敬し、大人になったら大英帝国のために命をも投げうつと誓います。
しかし、成長したアーサーを待っていたのは、悲惨な第一次世界大戦と、軍隊での人を人とも思わない貴族出身の上官の命令、そしてソンムの前線に送られた兄の死という過酷な運命でした。
退役したアーサーは絨毯職人として働き、シャングリ・ラと名付けられた一軒家も持ちますが、生活は決して豊かではなく、また中年期に差し掛かってからの上昇志向を忘れたその生き方は、時に「国家に洗脳されている」という批判も受けます。
第二次世界大戦では従軍こそしませんでしたが、時の首相チャーチルに心酔して銃後を守り、変わらぬ愛国心を示します。
ところが大戦後、植民地の相次ぐ独立やスエズ危機への対応の拙さゆえに、国威は急速に衰えはじめ、イギリスは若い世代にとって、魅力のない国へと衰退してしまいます。
こうした状況に閉塞感を感じて、アーサーの息子であるデレクは新天地を求め、国策として展開された移住推進事業に応じ、一家をあげてオーストラリアへ渡ることを決めます。
アーサーはデレクが下したこの決断に、心を痛めながらも止めることはできず、これまでの人生をひたすら夢見るように懐かしみながら、間近に控えた息子一家の移住の日を心寂しく待っています。


物語を通して語られるアーサー氏の性格は、一言で言えば「保守的な愛国者」です。
幼い頃の原体験から来るのでしょうか、古き良き大英帝国を愛し、決して時代の流れに乗ろうとはしません。
国家に洗脳されていると中傷されても、何の疑いもなくその国家を信じ、国が与える社会保障や給付金に、心から満足して暮らしています。

舞台設定が今から40年以上前の、1969年だとしても、これは完全に時代遅れの人物に違いありません。少なくともロック・ミュージシャンが同情したり、共感を覚えたりするような類の人物とは程遠いキャラクターです。


ここで、話は一旦アーサーを離れます。
アーサーを発表する1年前の1968年、キンクスはイギリスの田園生活を詩情豊かに描いたアルバム「ヴィレッジ・グリーン・プリザヴェイション・ソサエティ」を発表しています。
先見性のあるコンセプト・アルバムとして、今でこそ評価の高いこの作品ですが、発表当時の売上げや、リスナーからの評判は散々でした。
ブルース・ロックやサイケデリックの台頭、ベトナム戦争に対する反戦運動やヒッピー文化の勃興など、革新的なものが持てはやされる時代にあって、「村の緑や、昔からある古き良きものを大切にしよう」と高らかに宣言するこのアルバムは、世間一般の関心を買うことが出来なかったのです。
しかし、売れる売れないを度外視して、レイ・デイヴィスは変革の時代のさなかに、それに逆行するかのように「時代に流されずに古い文化を守る」というコンセプトでアルバムを作った。
これは事実です。

さて、振り返って「アーサー」です。
物語の主人公は、ヴィクトリア朝に生まれて、20世紀の時代の波にうまく乗れずに取り残されていく一人の老人。
その人に寄せるレイ・デイヴィスの共感。
つまり、レイ・デイヴィスとキンクスは、今度は「時代に流されずに古い観念を守る」人物を主人公にアルバムを作ったということです。

アメリカでのプロモーション活動を禁止され、ブリティッシュ・インヴェイジョンからはじき出された1960年代後半のこの時期、レイ・デイヴィスの思考は、否応なしにイギリス人の原点探し、アイデンティティーの追求へと向かっていたのでしょう。
2009年に出たボックス・セット「ピクチャーブック」のインタビューの中で、レイは「アーサー」アルバムに関連して、次のようなことを述べています。
「今ではこの国に暮らす人たちは、皆、強い中流意識を持つようになり、自分たちの生まれを恥じるようになってしまった」
「車やテレビを何台も持つのもいいし、自分の子供を大学に行かせるのも悪い事じゃない。だけど自分のルーツを消してしまうなんて馬鹿げている」

イギリスの文化や精神に着目して、現代に残された古き良きものを守り抜く。
結局、レイの意識は「ヴィレッジ・グリーン」から「アーサー」まで、根底の部分では繋がっているのです。
だからこそ、彼は「アーサー=古き良きもの」を助けたいと願ったのだし、アルバム全体を通して注がれるレイのアーサーに対するまなざしは、一貫してこの上もなく温かいのではないでしょうか。



【終わりに】

今年の6月に、ふとした思いつきで始めた企画ですが、およそ半年を経てようやく完結いたしました。
もしも、最初から最後まで、いや途中からでもお付き合いいただいた方がいらっしゃいましたら、この場を借りてお礼を申し上げたいと思います。
長い間、本当にありがとうございました。

さて、6月9日にアップした(その序)の時点では、簡単なストーリーをあげて「Whoのトミーなんかと比べたら、恐ろしいくらいに面白みのない物語ですね」と書いた僕ですが、こうして一曲一曲について考えてきた今となっては、こう言い直さなくてはならないようです。

「Whoのトミーなんかと比べたら、恐ろしいくらいにスケールの大きい物語ですね」

一人の男の人生を軸にして、二つの大戦をはさんだイギリス現代史を描くという手法は、例えばディケンズなどの発想に近く、その意味で本作は、まさに「歴史ロマン」と言えるほどの壮大な作品に仕上がっていると、今では思います。

この作品によってレイ・デイヴィスは、現代イギリスの主要な作家のひとりとして認識されてしかるべきであったんじゃないかとも考えますが、それはどうでしょうか?


ところで、自分が書いてきた考察を読み直してみると、あるいは意味を取り違えているかもしれないな、という部分も目に付きます。

例えば「Brainwashed」では、アーサーを「洗脳されている」となじるのは、同じ労働者階級の仲間であるかのような書き方をしていますが、ジュリアン・ミッチェルとレイによるプロットをよく読むと、アーサーの息子であるロニーは、資本主義に疑問を抱く学生であると書かれています。
であるならば、体制に迎合したアーサーを非難するのは、このロニーであると考えるのが、より自然な理解であったかもしれません。

他にも、こうした間違いはあるかと思いますが、そこは平にご容赦ください。


最後に、アーサー・モーガンのモデルとなった実在の人物、アーサー・アニング氏(Arthur Anning)について、少しだけ触れたいと思います。

アーサー・アニング氏は、デイヴィス兄弟の姉ローズと結婚した、兄弟にとっては義兄にあたる人物です。彼について書かれた文章には、一時的に兄弟の家に同居していたという記述もあり、レイとの仲は良好だったようです。
レイによれば非常に厳格な人物ということでしたが、一方でイギリスには失望を感じていたそうです。
また、彼の兄は空軍パイロットとして、ヴィクトリア十字章を送られるほどの活躍をした軍人だったということですが、アニング氏自身は目が悪く、こうした栄光とは無縁でした。
ある日彼は、オーストラリアで始まった「リトル・エリザベス」という村の建設計画をテレビで知って興味を持ち、1964年には一家をあげて、この地へ移り住んでしまいました。

「アーサー」アルバムの発表後、オーストラリアでレイと再会したアニング氏は、自分を題材にしてレコードを作ったことを詫びる義弟に対して、逆に作品にしてくれたことを感謝したといいます。

なお、彼はアルバムの発表からさほど経たない1973年の10月に、オーストラリアで亡くなりました。
この当時のことを思い出して、レイは「1973年は僕にとって最悪の年だった」と、後に述懐しています。
レイにとって、アーサー・アニング氏の存在は、よほど大きなものだったということでしょう。


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| Arthurを読み解く | 19:30 | comments(9) | - | pookmark |
超ビギナーに捧げるキンクス全オリジナルアルバム解説 (オールタイムベスト編)

ずっと昔、シリーズで記事にした「キンクス全オリジナルアルバム解説」。
その最終回である「ロンドン・レコード以降編」をアップしたのが、調べてみたら2009年の3月21日だった。
ということは、気が付けば、あれから1年半以上の月日が流れてしまったことになるわけで、僕はいま猛烈に焦っているのである。

なぜかというと、知っている人は知っていると思うけれども、僕はその当時「全部のアルバムの紹介が終わったら、その後はオールタイムベストを作りますよー!」と、調子の良いことを言っていたからである。

チッ!なんて調子の良い野郎だ!

その当時、色々な方にコメント欄でアドバイスまで戴いておきながら、この体たらくである。
そもそもキンクスのアルバムは、所属するレコード会社、あるいは時代時代によって、サウンドが変化するから、オールタイムは難しいのだ。
だから、シリーズで書いた当時も「〜編」「〜編」と時代別に分割して評価していたんじゃなかったか?

だがしかし、やると書いた以上はやらねばならない!
そうじゃないとヤルヤル詐欺のそしりは免れまい。


ま、それにしても…
いやー、もう1年半以上経っちゃったよ。
そしたら、当時の「超ビギナー」も、もはや「超ビギナー」じゃ無くなってるね。

 

さて、では改めまして
「超ビギナーに捧げるキンクス全オリジナルアルバム解説オールタイムベスト編」。

ここで、いま一度おさらいをすると、このシリーズは2009年の1月から始まって、
 パイ編
 RCA編
 アリスタ編
 ロンドン以降編
と4回にわたり、「KINKS」から「TO THE BONE」までのキンクスのオリジナルアルバム全28作品を、『これからキンクスを聴いてみたいけど、どれから聴いていいかわからない』人向けに、キンクスへの入り込み易さだけに評価を絞って、一枚一枚解説していった記事でした。
個々のアルバム評価には、僕の独断で5つ星制を採用したわけですが、コメント欄にはこの点数に対する同意や反対意見などをいただきました。

そこで、今回オールタイムを出すにあたっては、当時の僕の採点と、コメントでいただいた皆さんの採点を平均し、最終的な微調整を加えて順位を算出してみました。


そして出来上がったのが、以下に挙げる「入り込み易さ」だけを重視して作った、キンクスのオールタイムベストアルバム。
なお、それぞれのアルバムの解説については、過去の記事に全部書いてますので、参考にしていただけたら幸いです。


【 THE KINKS ALL TIME BEST ALBUM FOR BEGINNERS 】

1位
Something Else By The Kinks
Muswell Hillbillies
One For The Road
全部5つ星です。
くどいようですが、アルバムを聴いてすぐに「ああ、キンクスって良いな」と思ってもらえるかどうかが重視されてますから、世間一般の評価とか、売れた売れないみたいな評価とはまた別物です。
でもまあ、ここにはそういった評価とも一致する、良い作品が揃ったんじゃないでしょうか?

4位
Arthur Or The Decline And Fall Of The British Empire
Sleepwalker
Give The People What They Want
確かに一等最初に勧めるアルバムではないかも知れない。でも、2番目くらいにはこれ聴いてほしいよね!みたいな作品が揃いました。
5つ星で評価すると4.5。まあ余裕で合格点ですね。

7位  Face To Face
同率1位が3作、同率4位が3作あるのでこの順位です。
実際の点数は、上の6作品とさほど変わりません(4位の3作品と0.2ポイント差)。
実質3位みたいなもので、ビギナーの方にもお勧め度は高いです。

8位  The Kink Kontroversy
キンクスというと「キンキー・サウンド」という形容で語られることが多いのですが、実際にキンキー・サウンドを出していたのは初期の3枚目まで。
で、これがその3枚目なので、ここでの順位とか関係なく、キンキー・サウンドっぽいものがまず聴きたい、ということであれば、この作品が一番にお勧め。
まあ、実際にはレイ・デイヴィスの多様な曲作りが開花をはじめ、バラエティーに富んだアルバムですので、本来の「キンキー・サウンド」はかなり後退してきております。

9位  The Kinks Are The Village Green Preservation Society
恐らくキンクスとして最も評価の高いマスターピース・アルバム。僕は今でも、少なくとも週に一度は必ず聴いているくらいの愛聴盤です。
ただし、ビギナーの入り込みやすさだけから見ると、残念ながらこの点数。
初めは地味に聴こえるかも。

10位
Lola Versus Powerman And The Moneygoround, Part One
Schoolboys In Disgrace
State Of Confusion
UK Jive
5つ星制で言うと、ここまでが4つ星。
決してキンクスを代表するアルバムたちではないけれど、それぞれに有名曲とか隠れた名曲が沢山収録されていて、聴いて損するようなことは絶対にない作品。


と言うわけで、この10位あたりまでは「超ビギナー」にも安心してお勧めできるアルバムじゃないか、と考えるのですがどうでしょう?
結局1位から10位までで13枚になってしまったので、実質的に全アルバムのほぼ半数が、ビギナーにもまあお勧めということです。
ちょっと甘いかも知れませんが、そもそもキンクスの全部のアルバムが好きな人間が評価しているんだから、そこ辺のところは勘弁してください。


さて、すると残りが14位以下。
評価点順に列挙すると

 Phobia
 Kinda Kinks
 Everybody's In Show-biz
 Soap Opera
 Low Budget
 Word Of Mouth
 Preservation act1
 Misfits
 Think Visual
 Kinks
 Preservation act2
 The Road
 Percy
 Live At Kelvin Hall

しかし、くどいようですが、これらはあくまでも初めてキンクスを聴く人にとっての入り込みやすさ順ですから、上記13作と比べて、作品として劣っているわけではありません。
多分、名曲「Celluloid Heroes」を含む「Everybody's In Show-biz」がこの位置では納得できないという人もいるでしょうし、そもそも「You Really Got Me」を含む「Kinks」の低評価にも不満が出るかもしれません。
この辺のところは、以前に書いたそれぞれのアルバムの解説を参照してください。評価の低い、僕なりの理由が書いてあります。

それから、ここまでで27作品ですが、今のところのキンクス最後のアルバム「To The Bone」は、現在入手困難のため順位外としました。
手に入らないアルバムを推薦するのは、このガイドの趣旨に反しますから。


これで一応、「全オリジナルアルバム解説」は終了です。
キンクスを聴きこんだ皆様には、出来ましたらコメント欄にご自分なりの評価を書き込んでいただき、それをもってこのアルバムガイドを完結させていただければ、ブログ主として存外の幸せです。


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| Beginner's Guide | 22:43 | comments(4) | - | pookmark |
Hatred


先月の下旬に、このブログではデイヴを扱うことがない、と言って、無理くりジョージ・ハリスン・トリビュートの話題を書いたと思ったら、その後になって、デイヴが向こうのサイトのインタビュー記事に、続けざまに登場し始めたのだから皮肉なものです。

ただ、彼はこのところ、口を開けばレイへの悪口雑言を並べ立てているので、デイヴのインタビューが出たと言って、喜んでばかりもいられない。
以下はDaily Mailのサイトに載った、デイヴのインタビューからの抜粋ですけど、いきなりキンクス再結成を否定して、レイを徹底的にこき下ろすあたり、僕は読んでいて本当に落ち込んだ気分になってしまった。

ここからはちょっと、そのインタビューの主要な部分を抜粋して書き出してみます。
実際の記事は、インタビューを元にしたコラムですので、ここではデイヴの発言のみをピックアップしています。

一応注意しておきますが、デイヴィス兄弟を愛する方は、ここから先は読まないほうが良いかもです。



キンクスの再結成なんか絶対にあり得ない。
君たちは、車いすに座った馬鹿なジジイどもが「You Really Got Me」を歌うのを聴く必要なんかないんだ。

レイは僕のアイデア、感情、想像力を吸血鬼みたいに吸い尽くす。
彼といることは、僕にとって害毒以外の何物でもない。彼は他人を支配したがる奴だから。

こんなことは言いたくないけど、彼は2004年に勲章をもらってから益々ひどくなってきている。
レイが言うには「俺はお前より優れてる」「俺は特別だ」。
何でもかんでも「俺は、俺は、俺は」なんだ。
奴は自分こそがキンクスだと思ってる。
僕たちが作って来た音楽は、僕やピート・クウェイフがいなければ、あんなに素晴らしいものにはなっていなかったはずなのに。

レイはナルシストだ。
僕は先日、本屋へ行ってトニー・ブレアの自伝を手に取ったけど、そこに映っている写真を見て気分が悪くなった。彼はレイと同じものを持っている。それは何か重大な障害だ。

僕は、うぬぼれと自己欺瞞のちょっとした専門家だ。僕はくそったれのレイを観察することからそれを学んだんだ。

母が亡くなる3週間前に、僕は彼女から聞いたんだ「あなたのお兄さんは決してあなたの手助けなんかしてくれないから、あなた自身がしっかりしなくちゃダメよ」

僕たちは家族なんだから、互いに助け合わなければならないと思っていた。でも今はそんなこと思いもしない。

6年前に脳卒中になった時、彼が助けてくれたかだって?
彼は僕が病気になったことを喜んだか、僕が看病されていることを妬んだかだろうね。

病後にレイの家に行った時のことだ。
僕はまだ、かろうじて動けるような状態だったんだけど、彼はそこでいきなり「具合が悪い!具合が悪い!」って叫び出した。
夜中の3時に医者が呼ばれて来て言うには「どこも異常はありません」だってさ。彼は自分が注目されたかっただけなんだ。

僕はレイが人生のうちで幸せだったのは、たった3年間だけだったと思ってる。
僕が生まれる前の3年だ。
レイは家族の最初の男の子として甘やかされていたのに、僕が生まれてやきもちを焼いたんだ。

僕が9つの時、親父が言うには「お前は大丈夫だ、小さいけど見事に丈夫な手をしている。だが、俺はお前の兄のことが心配だ。奴は本当にやわで痩せっぽちだ」
だから、僕はいずれ僕がレイの面倒をみることになるんだろうなあって思ったよ。

大家族で成長すれば分かるけど、みんなが互いに助け合うんだ。
16歳の時、僕らは突然バンドに放り込まれた。
それから僕は世界を、僕たちのファンを、家族の延長みたいに喜ばせた。みんなは僕を愛してくれたし、僕もみんなを愛してきた。
そんな時、レイはずっと僕をたしなめ続けた。僕は生意気なガキで、レイよりも多くの取り巻きを引き連れ、お金になんか興味無くて、女の子を引っかけることが重要だったからね。

人々はいつも「デイヴは人生を生きて、レイは人生を描写する」と言う。
レイは観察者だった。彼は決して感情を表に出そうとしなかった。
もしも、なにか取り乱すような時は、僕だったら泣いたり叫んだりする。でもレイはいつだって、ずっと内向的だった。

ところがいきなり、レイは僕を地面に叩きつけるようなことをし始めたんだ。

物事がおかしくなりだしたのは、1973年のレイの29歳の誕生日、彼の妻が家を出て行ってからだ。
僕は彼女を責めることは出来ない、でもそんな風に逃げるのは残酷なことだと思う。
僕はレイを可哀想に思った。僕らはレイを慰めようとした。
だけど彼はコンサートで「何もかもが嫌になった」と言って、引退宣言をしたんだ。
僕はそれは冗談だと思っていた。ところがその後、レイはドラッグの過剰摂取で病院に担ぎ込まれるようなことをやらかした。
1ヶ月後に、僕たちはスタジオに戻った。僕は未来が明るいものだと思っていた。
ところが、キンクスは続いたが、対立も同じように続くようになった。

僕は、僕がレイをただサポートする為だけにそこにいるんだと気づいたんだ。
それは80年代、ある曲をアルバムに収めるのために、僕が激怒した事件からだ。
それは「パーフェクト・ストレンジャー」だけど、これは僕にとって、とても意味深い曲なんだ。そしてレイもそのことを知っていた。
ところがレイは、僕が週末で不在の間に、ミキシングで僕のギタープレイをズタズタにしてしまったんだ。
レイは言った「俺は思ったことが何でも出来る。なぜなら俺は天才だから」
だから僕は言ってやった「お前は天才なんかじゃない!お前はファッキンなクソ野郎だ」

キンクスとして活動したのは1996年まで。その後、レイはソロになることを決めたけど、僕はどうでもいいと思った。
実際にどうでもよかったんだ。

僕らがみんな揃ったのは、僕の50歳の誕生日だった。
その頃レイは金持ちで、僕はそうでもなかった。そこで、僕のためにレイがパーティーを主催してくれた。
僕がケーキをカットしようとすると、レイはテーブルの上にジャンプして、自分がどれだけ素晴らしいかの演説を始めた。
それから僕のケーキを踏みつぶしたんだ。



ここまでで、一応インタビューは終わりです。
始めはまあまあ良好だった兄弟関係が、妻の家出を機にレイがおかしくなり始め、やがて憎しみ合う間柄に変わっていったようです。
デイヴの目から見たレイは、本当に自己中心的で嫌な奴っぽいです。

さて、これで終わると、まったく後味の悪い記事だったのですが、実はこの後、デイヴはオフレコで次のような発言をして、インタビュアーを驚かせるのです。



僕は彼を憎んじゃいない。
そんなことは不可能なんだ。

キンクスがもはや時代遅れだと思われ始めた頃、僕はレイに言ったことがある「あんたにはもう、これ以上ヒット曲は書けないよ」
「他人がどう思おうと、そんなことは気にしない」レイは答えた。「僕は親父のために曲を書いているんだから」

これが本当のレイなんだ。
彼のどこかしらに、今でもそんな気持ちが残っていると僕は信じている。

僕はレイを愛さなかったことなんてない。
だって彼は、僕の兄だから。



この最後の部分が、実はデイヴの本音なんだと信じたいものですが、それ以前のレイに対する辛辣な言葉には、思わず耳を塞ぎたくなります。
「レイが幸せだったのは、僕が生まれる前の3年間だけだった」あたりになると、この人、兄貴への憎悪のあまり、幾分パラノイア気味なんじゃないか?とか疑いたくもなります。

今思うのは、この状態でキンクス再結成なんて有り得ないだろうなあという、失望感。
それとその一方で、根っからのファンから見れば、この対立こそがキンクスであって、これはGoodなニュースなのかも知れない、という逆説的な期待があります。
好戦的なデイヴの復活は、いよいよバンドの再始動がまじかに迫っている、その確かな証なのかも知れませんからね。



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| Around The Kinks | 19:46 | comments(6) | - | pookmark |
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