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昨年の11月に予定されていた、レイ・デイヴィスのアメリカ・ツアーが急遽中止になった件。
その原因について、contactmusic.com が報じています。
レイは2004年の1月に、ニューオリンズで、一緒にいた女性の財布を奪った犯人を捕まえようとして、逆に腿を撃たれたことがありましたが、記事によれば、この時レイの脚に残った銃弾の残留物が、その後体内で塊を形成し、昨年末の酷い体調不良に至ったとのこと。
「実際、そりゃあ本当にひどかったんだ。脚の中に残った残留物が作った塊のせいで、僕はクリスマス前に病気になった。それでちょっとの間病院に入っていたんだ」
「今度はきちんと取り除いてもらった。あの時は病院が混んでいたことと、銃弾の形がジグザグだったこともあって、ちゃんと治療してもらえてなかったんだと思う」
というのが、昨年末に起こったアメリカ・ツアーキャンセルの理由。
僕はてっきり、高齢で飛行機にも乗れないヨボヨボになったからなんだ、と勝手に思って悲観していたから、こうして原因が分かればその心配も霧散します。
それにしても、およそ7年もの間、脚に銃弾のかけらが埋め込まれたまま、普通に生活していたというのがまた凄い。
それどころか、この銃撃事件以来、それまで沈黙していたレイがいきなり元気になっちゃって、2006年には最初のソロアルバム「Other People's Lives」を出しちゃうし、翌年にはセカンド出しちゃうし、コーラス隊とツアーはするは、色んな人とコラボしてデュエットアルバム出すは、メルトダウン・フェスティバルの総監修を引き受けるはと、まるで若返ったかのような7年間でしたが、本当に大丈夫だったんでしょうか?
しかし、改めて思い起こせば、2004年はレイのこの銃撃事件があって、6月にはデイヴの脳梗塞による入院と、キンクスにとっては散々な年でした。
レイは今回の治療で、そのことからの完全復活を遂げたと思うのですが、未だドクターストップ状態で、同じく昨年のアメリカ・ツアーをキャンセルしたデイヴの方にも、何か良い兆しがあることを期待したいです。
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キンクス動かないですね。
まあ、1996年の6月を最後に、グループとして活動していないようなバンドが動かないのは当たり前なのですが、それにしても、昨年末くらいまではまあまあ掲載されていた、レイやデイヴへのインタビュー記事の類も、このところぱったりと途絶えてしまいました。
そんな中で、唯一ネタらしいネタを提供してくれたのが、意外にも、今は亡きキンクスのオリジナル・ベーシスト、ピート・クウェイフでした。
リリースされたのは、昨年6月に亡くなったピートが生前に書いていた小説が、この度イギリスで出版される(された?)という話題。
タイトルは「Veritas」で、amazon.ukの紹介文によると「60年代ブリティッシュ・ロックのルーツを深く掘り下げたロックンロール・ストーリー」なのだとか。
あらすじを読むと、Marcus Mantonという男を主人公に、その少年期からミュージシャンとして成功するまでを描くフィクションのようなのですが、物語は彼の父母が出会う1920年代から語られ始め、第二次世界大戦の記述を挟み、60年代のブリティッシュ・インヴェイジョンの時代にまで至るということで、おお、これはなかなか壮大な大河小説みたいじゃないですか。
作中には、ミュージシャン、ロックやブルースの熱狂的なファン、クラブオーナー、興行主、詐欺師、麻薬の売人などの個性的なキャストが多数登場し、そんな中でMarcusが自身のバンドの「The Elmores」(で良いのかな?)と一緒に経験する争い事やフラストレーション、10代の不安、興奮、幸運な発見が織り込まれる、とあり、このあたりはビートルズとかストーンズ、そしてもちろんキンクスなどのデビュー前夜の様子を彷彿とさせます。
お話としてはやや類型的、その辺にありがちなストーリーにも思えるけれども、その著者が実際に60年代のロックの喧噪の中に身を置いていた、ピート・クウェイフということであれば、物語の奥行きやリアルさについては、これはもう、そこいらの作家には絶対に描けないものになるだろうという期待があります。
実際、書評には「物語はフィクションだけれども現実のロック・ヒーローと重なり合う」というようなことが書かれているので、これは翻訳されたらぜひ読んでみたいですね。
とはいえ、本は上下巻で出版される予定で、今回はその上巻のみの発行。下巻は11月に発行のようですから、日本語で読めるとしても、来年以降の話でしょうか。
でも、これは絶対に日本語版出して欲しいなあ。
どちらかの出版社さま!よろしくお願いいたします。
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上野動物園に、3年ぶりにパンダが帰ってくるというので、TVショーはこのところ連日、この話題で持ちきりであります。
まあ、キンクスブログで語るのもなんですが、ハンドルで「Pandaboy」を名乗っている行きがかり上、僕もこのニュースには、実は人並み以上に興味を持っておりまして、テレビでひとたびこの話題が出ると、チャンネルを変えずにそのまま見続けてしまう毎日です。
…あ、今日は大したネタじゃないですから、興味のない方は飛ばしてくださって結構ですよ。今日はキンクス出ませんから…。
で、まあ観てますと、上野近辺では“パンダパン”やら“パンダランチ”やら、ハードロックカフェでも“パンダピンバッジ”やらを販売して、それはもう大歓迎しているわけですが、その一方では街頭インタビューで「パンダなんか呼ぶこたぁねぇ!」と言っている人たちも結構いて、人間の価値観というものはことほどさように一様ではない。
「パンダいらない派」の人達の言い分には、例の尖閣諸島問題から派生した嫌中国の気持が強く出ていて、あんな国に頭を下げてまでパンダ風情を借り受けるとは何事だ!みたいなものがまずあります。
それから、この不景気な時にパンダなんぞに金使いやがって、バカたれが!みたいな意見がもうひとつ。
ふむ、考え方としては分からないでもないですが。
しかし、ちょっとだけ反論というか、パンダを弁護させていただけるなら
この嫌中国の気分が蔓延する今の日本だからこそ、パンダに来て欲しいんじゃないですか?
もちろん「パンダ外交」という言葉があるように、政治のレベルでは互いにパンダを餌に腹の探り合いもしているのでしょうが、でも少なくとも、パンダに会うのを楽しみにしている子供たちは、中国に悪意なんか持つことはないと思います。
それから、この不景気に…と言っている人たち。
確かにパンダ2頭のリース料は、年間8,000万円とか言われています。餌代などを入れれば、必要経費は1億円を下らないでしょう。
でも、先に挙げた“パンダパン”とか“パンダランチ”、動物園の入園料に、パンダを見に行く交通費…、諸々のお金が回り回って、パンダがもたらす経済効果は、200億という試算だってあるのです。
そもそも不況だからと言って倹約倹約し続けたら、お金なんか全然流通しなくなって、閉塞感が更に蔓延すること必至でしょうに。
まあ、僕は政治も経済も全然素人で分からないけれども、パンダが来たからって、そうそう悪いことばかりではないんじゃないの?
せっかく日本に来てくれるパンダを、あんまり皆でイジメルなよ、という気持ちが強いです。
ただ、気に入らないことがひとつだけ。
なんでも上野動物園では、この新しいパンダの名前を公募しているんだってね。
この子たち、いままで中国では『比力(ビーリー)』と『仙女(シィエンニュ)』と呼ばれていたのに、今さら改名ってそりゃ可哀そうじゃないかい?
それは多少呼びづらくとも、本来の名前で呼んであげた方が良いんじゃないかなあと、そこにだけは違和感がありますね。
まあいいや、今回はブログ趣旨とは関係ない話でホントすいません。
パンダというと、どうにも他人事のような感じがしないものですから。
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イギリスはオックスフォードで毎年夏に開催される、コーンベリー・フェスティバル(Cornbury Festival)。
今年は7月1日から3日までの開催にもかかわらず、昨年から正式に再結成された、あのフェイセズが出演ということで、あちらのサイトでは早くも話題を集めています。
一応念のために書いておきますと、今活動しているフェイセズは、2009年9月にロン・ウッド、イアン・マクレガン、ケニー・ジョーンズのオリジナル・メンバーで、一夜限りの再結成コンサートを行った後、翌年の2010年5月になって、ヴォーカルにミック・ハックネル、ベースにグレン・マトロックを加えて組まれた、いわば再々結成のラインナップ。(ちなみに2009年のベーシストはビル・ワイマン)
えー?フェイセズにロッド・スチュワートじゃなくて、シンプリー・レッドのヴォーカルってどうなのよっ!
って方には、このビデオを観てもらうとして
さて、うちのブログ的には、今回の本題はここからになります。
今年のフェスに、このフェイセズ、ステイタス・クォー、シンディー・ローパーらと並んで、我らがレイ・デイヴィス先生ご出演のニュースが出てました。
6月に地元ロンドンで行われるメルトダウン・フェスティバルでの、キューレターという大役を控えているせいか、このところめっきり話題の少なくなったレイ先生。
去年の今頃は、アメリカで20公演もこなすツアーの真っ只中でしたが、今年に入ってからは、今のところこなしたギグの数はゼロ。
おかげで僕のブログも、青色吐息の更新状態が続いておりましたんですが、ようやくここにきて、メルトダウン後の活動にも目配りを始めた模様です。
ところで、こちらが今年のコーンベリー・フェスティバルの公式サイトなんですが、レイ先生の紹介部分が物凄いことになっているのに注目してください。
紹介文いわく「in the shape of national treasure Ray Davies」
ちょっと笑っちゃうけど、「national treasure」って、これ、おちょくってるんじゃなければ「国宝」って意味よね?
すると、この紹介は「人間国宝レイ・デイヴィス」となるわけで…。
レイ先生って、2004年に勲章を貰ったのは知っているけど、いつの間に人間国宝に指定されていたんでしょうか?
ひょっとしたらイギリスでは既にそういう扱いを受けているのか?まさかね。
ちょっと向こうに行って確かめたい気持ちになってきますが…。
それはともかく、今年のコーンベリー・フェスティバルは7月1日から3日まで開催。
フェイセズとレイ・デイヴィスの出演は7月2日。
チケットはもう販売されているみたいなので、参加してみたい方はお早めに!
しかし、改めて考えたら、先生も、もうすぐ67歳だものなあ。
こと年齢だけに関して言うならば、イギリスの重要無形文化財に認定されていても、不思議じゃないくらいのご高齢になりつつあるですよねぇ。
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一日遅れましてスミマセン!
2月15日はオリジナル・キンクスの良心。ミック・エイヴォリー師匠のお誕生日でした。
師匠はレイ・デイヴィス先生と同じ1944年生まれなので、御年67歳。
まだまだ現役のドラマーとして、いま現在もKast Off Kinksを率いて、4月半ばまで続くイギリス・ツアーを敢行中であります。
レイ先生が自分たちの歴史を振り返った、キンクスの曲「The Road」では
エイヴォリー夫人の息子は不器用だったけど
そのドラムは力強かった
と謳われたエイヴォリー師匠。
その歌詞の通り、(失礼ながら)いかにも不器用そうなたたずまいが、変な言い方になりますが「愛おしくてたまらない」存在です。
キャラクターからいって、アルバム制作やフェスティバルのプロデュースを次々とこなす、レイ先生のようなバリバリ感は残念ながらありませんが、旧友とリラックスしながら演奏活動を続ける師匠の活動には、思わず声援を送りたくなります。
ここ日本では、まったく話題にもならないミック・エイヴォリー師匠。
それでも数は少ないけれども、そのお誕生日を祝う人間も、ほんの一握りくらいはいますからね!
これからも、元気で頑張ってください!
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Dave Emlenさんのサイトでキンクス・ニュースを見ていたら、「彼らの再発アルバムが間もなく出ますよ」と言うので、「またあの初期3作品のことかいな?」と思ってリンク先をたどってみたら、どうやらそれ以降のアルバムも、ボーナストラックをふんだんに収録して続々再発の予定だという。
もともとは、イギリスの『Female First』という、“セレブのゴシップとライフスタイル”を扱うらしい雑誌のサイトが伝えているニュースなのですが、何でまたこのサイトにキンクスなのでありましょうか。
それはともかく、掲載された情報によれば、今月末の「Kinks」「Kinda Kinks」「The Kink Kontroversey」のリイシューに引き続き、5月には「Arthur」と「Muswell Hillbillies」が、6月には「Face to Face」と「Something Else」が、それぞれ発売されるとのこと。
Female Firstの書き方からすると、どうも本国ではキンクスの再発プロジェクトのようなものが進行しているらしく、そのシリーズの第一弾が初期の3作。以降、今回書いたような再発作業が続いていくらしいです。
更に、その内容として“rarities, outtakes, demos, session tracks”を盛り込む、とあります。
ところで、今回発表された再発物の中には、時系列的に順当にいけば当然含まれるはずの「The Village Green Preservation Society」が入っていません。
これは、「Village Green」のアウトトラックやデモは、2004年版のデラックス・エディションにて既に発表済みだからということなのでしょうか?
もしそうだとすると、ファン垂涎の貴重な未発表曲を数多く収録したあのアルバムも、このシリーズの一部ということになり、仮にそうであるならば、今月から発売される一連のアルバムにも、あれくらいの本気度の高いレアトラックが満載されるかもしれない!などと、淡い期待を抱いてしまいます。
まあ、冷静に考えて、もうキンクスにはそれほど多くの未発表曲が残されているとは思えませんが、しばらく前のエントリーで触れた「Till Death Do Us Part」や「Pictures in the Sand」といった、ファンの間で有名でありながら、未だ正式にリリースされない楽曲であれば、収録の可能性も無いわけじゃありません。
これらの曲の録音は、時代的には「Arthur」の制作時期と前後しているはずなので、少なくともこのあたりに日の目を見せる再発プロジェクトになっていることを望みたいと思います。
それから、リリースの予定に「Muswell Hillbillies」が入っていることから察するに、今回の再発企画はRCA時代も対象ということですね。
2009年の「Picture Book」では、一切レアなトラックを出してくれなかったRCAさんですが、今度はどんな対応をしてくれるんでしょうか?
個人的にはキンクスの財宝は、RCAの倉庫に一番多く潜んでいるような気がしてならないので、ここは会社の英断に期待したいところです。
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デイヴ・デイヴィス様。
お誕生日おめでとうございます。
昨年は、アメリカ・ツアーの延期、キャンセル以降、ほとんど活動らしい活動も無く、非常に寂しい一年でした。
今年はどんなご予定でしょう?
恐らく、ご子息と始められた、例のスピリチュアルなアッシャー・プロジェクトとやらに、力を注がれるおつもりなんでしょうね。
最近行われた『Punk Globe』のウェブサイトでのインタビューでも、
愛には年齢がない。愛は老いることがない。
僕はヒンズー神の天使と、天使がもたらす力を信じる。
彼は10歳ほどの年齢で、あらゆる場所にいて、
どんなことも成すことが出来る。
なんてことをおっしゃってますもんね。
ただ、その一方で、
映画を製作したい。
それから、これまでと違うタイプの音楽と、
ミュージカルを作りたくてワクワクしている。
いま僕は、色々なプロデューサーや、
ミュージカル制作者と組もうとしている。
とも語っていて、まあ、僕たちの望んでいる方向とは若干違うような気もしますが、それでも創作への熱意が徐々に戻りつつあるのかな?という微かな希望も見えてきました。
何にしても、デイヴ様はまだまだ64歳。
現役のロック・レジェンドとして、今年こそは、今一度こんな風に↓ロックしてくれることを、心よりご期待申し上げます。
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アルバートホールでプレイした日のことを
彼は忘れないだろう
これまでにこなした100万回ものセッション
そう、彼はセッションマン
コードの革新者にして最高のミュージシャン
ロックン・ロールに流行歌手
フィルハーモニック・オーケストラ
彼にとっては同じこと
そう、彼はセッションマン
コードの革新者にして最高のミュージシャン
余計なことは考えず
ひたすら演奏するだけ
セッションマン
セッションマン
あちこちのスタジオでプレイする毎日
音符の通りに演奏しては
同じ時間に帰ってく
サービス残業なんかしない
そう、彼はセッションマン
コードの革新者にして最高のミュージシャン
余計なことは考えず
ひたすら演奏するだけ
セッションマン
セッションマン
キンクス4枚目のスタジオ・アルバム「Face To Face」収録の「セッションマン」のなかで、こう歌われているのがニッキー・ホプキンス。
なんだか褒めているんだか貶しているんだか分からない歌詞だけど、それでも伴奏を引き受けているんだから、少なくともホプキンス自身はこれを好意的に解釈していたんでしょう。このセッションのあと、ホプキンスも自分のソロシングルで、キンクスの「ミスター・プレザント」をカヴァーしていることを考え合わせると、彼とレイとの関係は普通に良好だったものと思われます。
ただまあ、それでもこの歌詞を読むと、この頃のレイ・デイヴィスって、やっぱりちょっとイジワルだったなあという印象は受けますけどね。
さて、それはそれとして、ロックの歴史を振り返る上で、最も重要なピアニストに位置づけられるニッキー・ホプキンス。
彼が携わったミュージシャンをざっと挙げるだけで、キンクス、ストーンズ、ビートルズ、フー、ジェフ・ベック、ドノヴァン、ジェリー・ガルシア、ジェファーソン・エアプレインにクイックシルヴァー・メッセンジャー・サーヴィス…。
英米を跨いだ実に多様なメンツが並びますけど、つまりそれだけ彼の音楽の幅は広かったということです。
ホプキンスが、キンクスの歌う「セッションマン」の通りの人ならば、彼はどんな曲も譜面に忠実に淡々と弾きこなす、単調で機械的なミュージシャンでしかないわけだけれども、これだけの幅広い音楽性をその指先で弾き分けてしまう才能が、並みのスタジオワーカーのものであろうはずもなく。
その才能の豊かさを知るのには、1973年に発表された初のリーダーアルバム「夢見る人(The Tin Man Was a Dreamer)」が最適なのだけれども、1997年にCD化されたこのアルバムも、amazonのレビューでは星5つを獲得しているにもかかわらず、現在では廃盤の憂き目を見ているようであります。(amazonで試聴は出来ます)
クラシック音楽のようなピアノ独奏で幕を開けるこのアルバム。
オープニングからラストまで、アルバム全編を通してキーボードが大々的にフューチャーされ、基本的にギターアルバムばかりを聴いている僕のような耳には、これが意外と新鮮に響きます。
曲は大別して、流麗なピアノを配したスローバラードと、70年代初期のストーンズのようなホンキートンク調ブギー(?上手く言えない)の二本立てになっていて、それらがメリハリよく交互に並んでいる感じ。
まあ、このバラードとブギーの曲調の落差が激しくて、若干両極端な感じも否めないではないけれども、好意的に解釈すれば、これもニッキー・ホプキンスの音楽性の幅の広さゆえのことですね。
アルバムにはジョージ・ハリソン、ミック・テイラー、クラウス・ヴォアマン、ボビー・キーズ、クリス・スペディングなどが参加。
同じ時期に同じアップルのスタジオで録っていた、ジョージの「リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」のメンバーとけっこう重複があって、つまりみんな掛け持ちで、向こうとこっちで演奏していたというわけですな。
いやあ、それにしても、ここに描かれた特にスローナンバーの、息をのむほどの美しさはどうだろう。大袈裟ではなくて本当に、筆舌に尽くしがたいものがあります。
そして、これは絶対に日本人受けするメロディーだな、ということを凄く感じます。
と言うのも、これはパクリとかそういう類ではないのだけれども、例えば4曲目の「Dolly」が、どことなく往年の「いちご白書をもう一度」のメロディを思わせるように、このアルバムの曲からは、1970年代くらいのジャパニーズ・ポップスで聴かれた旋律に、非常に近いものが感じ取れるのです。
これは全く個人的で当てずっぽうの推測だけれども、ひょっとしたらこのアルバムの発表を契機として、日本のポピュラー音楽家たちの間で、ニッキー・ホプキンズ・ブームのようなものが、かつて立ち上がったんじゃないだろうか?
それでこのアルバムを手本として、彼らは曲を書いたとか…。
だからホプキンスが1990年代になって、何故か「逃亡者」「並木家の人々」といった日本のテレビドラマのサントラを手掛け出すのも、これも70年代に彼から影響を受けた音楽監修者やプロデューサーなりが、そのように担ぎあげたと考えれば合点がいくのだけれど、どうだろう?
ま、全然根拠のある話じゃありませんが。
しかし、それにしても、このような名作が既に廃盤という今の状況は、全く腹立たしい限りであります。
こういう優れた音楽を、レコード会社の勝手で出したり引っ込めたりして良いものか。そんなことはもういい加減やめたらどうだろう。
商品化してしまうと在庫を抱えて採算が合わないと言うのであれば、今だったらネット配信という手段だってある。
新譜はどんどんネットで売るけれども、旧作には一向に目を向けたがらないのはどういうわけだ。
ネット上に作品ライブラリーを置いておいて、有料でダウンロードできる仕組みさえ作っておけば、レコード会社だって在庫を抱えて四苦八苦することもなく、リスナーにとっても「廃盤で聴きたくても聴けない」などという悲しい事態が消えて無くなるではないか。
それに、入手しづらい作品が高値で売買されるという現状のような悪弊も、幾分かは和らいで行くに違いない。
いやいや、話がだいぶ逸れてしまった。単純に「夢見る人」は名作よ!とだけ書きたかったのだった。
なんか今回は、内容があっちに行ったりこっちに行ったりしてしまいましたね。
とりあえず、ニッキー・ホプキンス「夢見る人」は名盤!
どこかの中古屋ででも見かけたら、ためらうことなく即購入をお勧めします。
読んでくれてありがとう!
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