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Village Green 全曲解題7「Starstruck」
 Baby 自分が何を言ってるのか分かってないね
 君は都会の煌びやかさにやられちまって
 頭が変になってるんだ
 世界の頂点にでも立ったつもりなのかい

 だって君は追っかけ、スターの追っかけ
 明りに吸い寄せられて
 反省もない
 君は僕の追っかけだ

 Baby 気が触れたみたいに走り回ってるね
 パーティーに出かけては夜通し踊って
 もう飲めないというまで飲んで
 しまいには立っていられなくなるんだ

 だって君は追っかけ、スターの追っかけ
 明りに吸い寄せられて
 反省もない
 君は僕の追っかけだ

 Baby 気をつけないと破滅するよ
 一度ワインとシャンパンの日々に溺れたなら
 きっと君は狂っちまうよ
 世間はそんなに甘くないんだ

 だって君は追っかけ、スターの追っかけ
 明りに吸い寄せられて
 反省もない
 君は僕の追っかけだ
 自分でもそう思わない?
 君は僕の追っかけだ
 これからだってそうなんだろうな
 君は僕の追っかけだ
 君は僕の追っかけだ


まあ、色々なご意見はおありでしょうが、これまで何回も書いた通り、僕はこの「The Village Green Preservation Society」の語り手と、「Lola Versus Powerman and the Moneygoround, Part One」の主人公は同一人物と考えています。

ふたりは同じように野心を持って故郷を飛び出し、一度は名声を得るものの、やがてその夢見ていた世界が虚しいもののように思い始めて、人生で本当に大切なものに気づいて、スターダムから去って行きます(ただし「Village Green 〜」のほうは、多分に僕の希望的憶測が入ってますが…)。

僕のイメージするストーリーによれば、この「The Village Green Preservation Society」では、これまでに取り上げた『Village Green』『Johnny Thunder』『Phenomenal Cat』『Big Sky』『Wicked Annabella』『Monica』
までが、主人公の少年時代、彼の村での生活を描いたもの。
そしてこの『Starstruck』からが、彼のロック・スター時代ということになります。
根拠は非常に薄弱なのですが、ただ「Lola versus Powerman 〜」の主役もロック・スターだったわけだし、この『Starstruck』で歌われる内容って、いかにもそれらしくないですか?

仮に僕の説が正しいとすれば、この曲の主人公は今、『Top of the Pops』でその世界の頂点にまで上り詰め、『The Moneygoround』でロック界の裏側に疑問を抱き、『This Time Tomorrow』で世界中をツアーして回るという、まさにロック・スターとしての狂騒の最中にいるはずです。
そうした、やや有頂天になった主人公が、彼を追いかけまわす、所謂“追っかけ”(昔の言葉で言うとグルーピー)に対して、「いい加減に目を覚ませ」と説教する、そんな内容でしょうか?

キンクスって、あまりスターぶらないバンドであって、歌の目線はいつも一般庶民の方を見ているから、こういう自らのロック・スターとしての立場から、他人にメッセージを送る曲というのは、これは非常に珍しいですね。


ただし、この主人公がロック・ミュージシャンという設定は、「Lola Versus Powerman 〜」との関連性から来る、僕の勝手な妄想に過ぎません。
だから、真相は実は真逆ということだってあり得るわけです。

というのはつまり、Village Green村から出てきた田舎青年が、スターを夢見るあまり、スターの追っかけに身をやつすという。
そして、そんな主人公を、当のスターがバカにするという、そういう理解もありでしょうね。

いや、それだとあまりにも切ない歌になりますが、でもこっちの方が、いかにもキンクスっぽい気もします。



ストーンズに置き換えるとこんな感じでしょうか?


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| VillageGreen全曲解題 | 20:53 | comments(0) | trackbacks(0) | pookmark |
フジロック・フェスティバルにレイ・デイヴィス登場!
フジロック・フェスティバルのサイトに4月19日の最新情報として、レイ・デイヴィス出演のニュース。
ちょっと今取り乱していて、出演日とか詳しいことは全然冷静に見れていないのだが、とにかくそういうことです。
前回のフジロックから13年ぶりだということで、これは貴重なステージ。

しかし、苗場はきついなあ…
来日ついでに首都圏で単独ライブとかやってくれないかねえ。

フジロック・フェスティバルは7月27日から29日の3日間開催。
詳細はこちらへ。
| Around The Kinks | 11:00 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
妖精と死んだ鍋、その他のことなど
前回の記事で少しだけアイルランドに触れたら、その昔、結構な勢いでアイルランドにハマっていたことを思い出しまして、それで司馬遼太郎の「愛蘭土紀行」やら、W.B.イェイツの「ケルト妖精物語」やらを、またぞろ引っ張り出してきて、パラパラとページをめくり出しています。

行ったことないですけど、アイルランド面白いです。
それから、本で読む限りでは、不思議と日本と似ていたりします。

イェイツの著作は19世紀のものなので、今はどうなのか分かりませんが、当時のアイルランド人には、昔の日本人が持っていたと同じような、不思議な感性が備わっていたようです。

例えばイェイツが田舎の漁師町に行って、地元の人に「あなたは妖精を信じますか?」と尋ねるんですが、それに対して老いた漁師は「奴らには困ったもんだよ」と答える。
つまり、これはもう信じるとか信じないとかいう次元じゃなくて、彼らにとって妖精なんていうのは、いて当たり前。日常の一部だったんですね。
このあたり、文明開化以前の日本人が、怨霊とか妖怪の存在を、当たり前のものとして受け止めていた、その感覚に近い気がします。
そう言えば「怪談」を書いたラフカディオ・ハーンも、元々アイルランドの人だったわけで、やっぱりこの二国間には、どこか相通じるものがあるようです。

伝統的なアイリッシュ・ダンスに、上半身を全く動かさずに脚だけで踊る「ステップダンス」というのがあるんですが、これは何でこんな踊りが生まれたかというと、アイルランドは1600年代にクロムウェルに征服されてからというもの、その伝統的な文化とか娯楽というのが、全部禁止されてしまうんですね。
踊りたくてもイギリス軍の監視があるから踊れない。
そこで、窓から覗かれても踊っているように見えない、こんな足だけのダンスが誕生したんだそうです。

そんな風に蹂躙された歴史が長いために、アイルランド人は基本的にイギリスが嫌いで、だからその昔、日本が戦争でイギリスの敵国になった時には、アイルランド人は密かに日本を応援していて、それ以来、今でも親日家が多いそうです。
まあどこまで真実なのかは分かりませんが。



司馬遼太郎は「愛蘭土紀行」の旅程の中で、アイルランドに渡る前に、リバプールに立ち寄るんですが、そこでビートルズを引き合いに出して「Dead Pan Joke」という、アイルランドに特有の冗談について言及します。

「Dead Pan Joke」。司馬さんはこれを「死んだ鍋」と訳しましたけど、これは一種の皮肉な言い回しのことであって、冗談の中に相手を凍りつかせるような鋭い一言を入れるやり方。
例えばリンゴで言えば、記者会見の席での「ベートーベンをどう思いますか?」という質問に対する「好きだよ、特に彼の詩がね」という切り返し。
ジョンで言えば、ロイヤル・バラエティ・パフォーマンスでの「安い席の人は手を叩いて。そうじゃない人は宝石をジャラジャラ鳴らして」みたいなMC。
こういうのが「Dead Pan Joke」なんだそうです。
すると、ビートルズがMBN勲章を受勲した際に、旧軍人や何かが騒いだ時のジョンの「人を殺して貰ったんじゃない。楽しませて貰ったんだ」なんてのは、これはもうDead Pan Jokeの最高傑作であって、こういうのはなかなか真似したくても出来るもんじゃないです。

しかし、こういうのを見ると、ビートルズってリバプールのグループと言われていて、勿論それはそうなんだけれども、根っこのとこでは、やっぱりアイルランド系の人達の集まりなんだな、というのが良く分かります。
感性がね、非常にアイリッシュっぽいです。


その昔、アイルランドの貧しい人々が海を渡ってアメリカに移住して、そこでも貧しい暮らしをしながら、故郷を思い出して歌を歌う。
これがやがてカントリー・ミュージックの源流になる。
それで、そのカントリーやブルーグラスが、ゴスペルやジャズやブルースと結びついて、やがてロックに成長していったというのが、僕のものすごく大雑把な理解です。
すると、ロックの大いなる源流のひとつはアイルランドにあるわけで、そうして考えると、アイリッシュの流れをくむビートルズが、ロック史における重大事件になったというのにも、やはり偶然じゃない何かを感じます。

頭の中には色々あるのに、上手く書けなくてもどかしいんですが、やっぱりアイルランド面白いです。
久々にまたハマりそうな気がしてます。


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| Complicated Life | 20:58 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
盗まれた子供
世の中に腹の立つことというのは、それは沢山あるけれども、中でも一番腹立たしいのは、残念なことに毎日のように報じられる子供の虐待だ。

これはもう単に「腹立たしい」とかいうレベルを超える。
こういうのをニュースで見たり、新聞で読んだりしていると、腹の中から怒りとも悲しみとも、自分でもなんだか分からない感情が噴出してしまい、心もポキポキ折れてしまって、もう胸の内というか、五臓六腑が痛くて仕方なくなる。
正直へこむ。

聞くところによると、赤ちゃんってのは、お母さんのお腹にいる間に、一生懸命に笑顔を作る練習をするんだって。
生まれてきたらニコニコ笑って、周りの人に可愛がってもらえるように、そういう練習をしてるんだって。そんな話をどこかで読んだ。
もちろんそれは本能であって、本人が意識してやっているわけじゃないんだけれども、神様は、だからそういう風に子供を作ったんです。みんなから可愛がってもらえるように。

それを、本来なら一番守ってもらわなければならない立場の親であるとか、あるいは多くの場合、その同居者に踏みにじられるというのは、これはなんとしても許し難い。

もちろん異論はあるでしょうが、僕は、子供を殺めた人間というのは、これはもう迷うことなく極刑でいいと思っています。
大人同士の場合は、まあ死に至らしめたとしても仕方が無いというような事情が、情状酌量の余地のある事案が、時に起こり得るかもしれません。
でも、子供に関しては、それはない。
子供を傷つけ、最悪殺すことに、正当な理由なんてものはない。

子供を殺すということは、その子に与えられた未来を丸ごと潰してしまうということだ。
それは大人を殺すよりも、何倍も罪深いことじゃないだろうか。


世界中に伝わる数々の妖精譚の中に「取り替え子(Changeling)」という系譜があります。
アイルランドに取材して多くの妖精物語や詩を書いたウィリアム・バトラー・イェイツによると、妖精はすやすやとベッドに眠る人間の赤ん坊を、妖精の中で瀕死の者であるとか、場合によっては魔法をかけて人間に似せた木の枝などと、こっそり交換してしまうそうです。
入れ替わった方の妖精や木の枝は、すぐに衰えて死んでしまう。
一方、連れ去られた方の子供は、妖精のもとで召使にされるとも、或いは優しい妖精たちに囲まれて、幸せに暮らしているとも言われています。

そのイェイツが、この取り替え子の伝承を下敷きにして書いた詩が「盗まれた子供(The Stolen Child)」です。

 スルース・ウッドのごつごつとした高嶺のふもとが
 水面に浸るみずうみに
 葉の生い茂った島がある
 青鷺が羽ばたき
 眠たそうな水鼠を目覚めさせる場所
 そこには野苺や
 盗んできた真っ赤な桜桃の入った
 俺たち妖精の桶が隠してある
 おいで人の子よ
 水辺へ そして原野へ
 妖精と手に手を取って
 この世界はおまえの知らぬ
 深い悲しみで満ちている

この19世紀に書かれたノーベル賞作家の詩に、ウォーターボーイズが曲をつけた同名の楽曲が、彼らがアイルランドに深く入り込んだ、1989年の素晴らしい「Fisherman's Blues」に収録されています。



19世紀のアイルランドを遠く離れた現代の日本には「この世界はおまえの知らぬ、深い悲しみで満ちている」どころか、深い悲しみしか知らない子たちも沢山いる。

もしも、幼くして失われた命が取り替え子のものであったなら、本当の人の子はどこか知らない場所で、優しい妖精たちに囲まれて、幸せに暮らしていけるのに。


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| Complicated Life | 00:00 | comments(2) | trackbacks(0) | pookmark |
Kinks At the BBC Box set 発売情報(短信)
以前の記事でお伝えした、キンクスのBBCボックスが本国で6月25日にリリースされる模様

5枚のCDと1枚のDVDがセットになって、価格は約57ポンドというから、日本円では今のところ、大体7,500円くらいでしょうか。

詳しい収録曲など、分かり次第お伝えします。

【追記】
↓ 日本のamazonでも予約開始ですって!

| Around The Kinks | 18:12 | comments(4) | trackbacks(0) | pookmark |
Village Green 全曲解題6「Monica」
 モニカは真夜中に
 街灯の下に立つんだ
 男たちは誰もが
 彼女の愛は買えるものと思ってるけど
 モニカからの優しい愛は
 お金なんかじゃ買えないんだ

 夜明けから月の輝く夜まで
 モニカはあらゆる手管を知っている
 求婚なんてしちゃダメだ
 だってモニカはすべてお見通しなのさ
 鼻で笑っておバカさんねって言われるのがオチさ
 
 僕は死んじゃうかも
 モニカがいなくなったら
 僕はきっと死んじゃう
 ああ、いとしのモニカ
 みんなはモノにしようとする
 モノにしようとはできるけど
 モニカの愛は買えないんだ

 君が太陽を選ぶなら
 僕は夜の影を取ろう
 だってモニカが輝くのは夜だから
 彼女はイケナイことをして
 その正しさを証明して見せるんだ
 
 僕は死んじゃうかも
 モニカがいなくなったら
 僕はきっと死んじゃう
 ああ、いとしのモニカ
 みんなはモノにしようとする
 モノにしようとはできるけど
 モニカの愛は買えないんだ

 夜明けから月の輝く夜まで
 モニカはあらゆる手管を知っている
 求婚なんてしちゃダメだ
 だってモニカはすべてお見通しなのさ
 鼻で笑っておバカさんねって言われるのがオチさ
 ああ、モニカ


歌詞を読んで想像するに、このモニカという女性は、娼婦に違いない。

…という一般的な見解に乗っかって、まずは話を進めます。

モニカは夜な夜な街角に出没する娼婦。そしてVillege Greenから出てきたばかりの純朴な青年は、彼女に本気の恋をしてしまう。
その顛末を歌ったのがこの曲だという解釈です。

僕はしばらく前のエントリーで、この青年というのは「Lola vs Powerman〜」の主人公と同一人物に違いない、ということを書きましたけれども、するとこのモニカという女性は、「Lola vs 〜」でいうところの“ローラ”みたいな存在でしょうか?
こちらは娼婦、あちらはニューハーフという違いはあるものの、いずれもうぶな青年が、都会に出て初めて恋する相手としては、中々ドラマチックなものがあります。

「モニカ」≒「ローラ」説。これが第一の仮説です。


ところでこの「Village Green Preservation Society」というアルバムを見ていると、全体の中に互いに対をなす曲が、いくつか含まれていることにお気づきかと思います。
たとえば「Picture Book」と「People Take Pictures of Each Other」は共に写真でつながっているし、「Phenomenal Cat」と「Wicked Annabella」は、童話的な作風が共通している、といった具合です。
すると、この「Monica」にも、ひょっとしたら対になる曲があるのかも知れない。

そこで思いついたのが、このアルバムの前身となる「Four More Respected Gentlemen」に収録が予定され、後に「Wonderboy」とのカップリングでシングル・カットされた「Polly」という一曲です。

 ポリーはママの言うことを聞こうとしなかった
 ポリーはパパの言うことを聞こうとしなかった
 彼女はスィングする街の真っ只中に出たかった
 今では街中に知らない場所なんかない
 
 ポリー 可愛いポリアンナ
 ポリー 可愛いポリアンナ
 可愛いポリー・ガーター
 家を飛び出すべきじゃなかったのに
 
 可愛いポリーは最高にいかした服を着てる
 めちゃくちゃ愛くるしいってみんな言う
 50万人もの人が言うんだよ
 でも彼女は家にいるべきだったのになあ
 
 ポリーはママに手紙を書いた
 ポリーはパパを混乱させた
 ママは親子の絆が失われていないことが誇らしかった
 彼女のベイビーが帰って来てくれてハッピーなんだ
 
 可愛いポリーは
 人生はゲームみたいって学んだんだ
 絆を壊さなきゃいけなかったことを悲しんだけど
 ママは知っているよ
 だってママも同じだったからね
 彼女のベイビーが帰って来てくれてハッピーなんだ
 
 ポリー 可愛いポリアンナ
 ポリー 可愛いポリアンナ
 可愛いポリー・ガーター
 家を飛び出すべきじゃなかったのにね


ここでは特に、この女の子の名前に注目していただきたいと思います。
歌詞を読むと、ポリーのフルネームは“ポリー・ガーター”だとあります。

ポリー・ガーター(Polly Garter)。
面白いことに、これはディラン・トーマスの「Under Milkwood(ミルクの森で)」に登場する、ある人物と同じ名前なのです。

…というわけで、ここからは原文の斜め読みによるにわか知識なので、間違っていたらゴメンなさいなのですけれども、詩劇の中で描かれるポリーは、奔放な男性遍歴を繰り返す、若き未亡人ということになっています。
彼女の口からは、過去に関係を持った何人もの男性の名前が出てきますし、今でも村の住人であるMr. Waldoと、人目を忍んで会ったりしていて、村の奥様方に格好のゴシップの種を提供しています。
そうした意味では、ある種の“娼婦”的な女性だと言えるでしょう。
この辺り、非常にモニカのイメージに近い感じが僕はしました。

しかし、劇中で歌われる彼女自身の言葉を聞けば、その派手な男関係が、単に彼女自身の欲望に起因したものではないことが分かります。

 あたしはトムという名の男を愛したわ
 熊みたいに強くて とっても背が高かった
 あたしはディックという名の男を愛したわ
 樽みたいに大きくて がっしりと逞しかった
 あたしはハリーという名の男を愛したわ
 6フィートも背があって チェリーみたいに優しかった
 だけど昼も夜もなく愛したのは
 たった一人の男だけ
 彼の名前はリトル・ウィリー・ウィー
 地中深くに眠ってる

 ああ トムとディックそれにハリー
 三人とも素敵な人だった
 二度とあんな風に人を愛する事もないでしょう
 でも リトル・ウィリー・ウィーは私を受け入れてくれたのよ
 リトル・ウィリー・ウィーこそが私の人だった

 いろんな教区から男たちがやって来て
 私を追いかけて野原で転げまわるわ
 丘から来たジョニーや船乗りジャック
 そんな男たちを愛する時はいつでも
 トムやディックやハリーみたいに
 私を喜ばせてくれるかを考えてしまうの
 そして彼らの傍にいて私がいちばん思うのは
 溺れて死んだリトル・ウィリー・ウィーのこと

 ああ トムとディックそれにハリー
 三人とも素敵な人だった
 二度とあんな風に人を愛する事もないでしょう
 でも リトル・ウィリー・ウィーは私を受け入れてくれたのよ
 リトル・ウィリー・ウィーゼルこそが 私の最愛の人だった


つまり、彼女はかつて愛した、ただ一人の男性(夫)に先立たれ、その悲しみを忘れるために、様々な男性と関係を重ねているというのです。
そして、このポリー・ガーターの独白を見る限り、彼女の立ち位置や性格は、キンクス版「ポリー」よりも、むしろ「モニカ」のそれに酷似している気がするのですが、いかがでしょうか?
傍から見れば、娼婦のように、いかにも奔放に振る舞っているようではあっても、その本質は、かつて愛した亡夫をいつまでも忘れられずにいる一途な女性。それがポリー・ガーターであり、恐らくそれはモニカでもあるのだろうと僕は思います。
だからこそ、色々な男が言い寄ろうとも、「モニカからの優しい愛は、お金なんかじゃ買えない」のです。

レイ・デイヴィスはアルバムの制作にあたって、ポリー・ガーターをモデルにした曲を2曲書き、「Four More Respected Gentlemen」に収録しようとしたものの、直接的にディラン・トーマスの登場人物の名前を歌い込んだ「ポリー」を外し、残りの一曲を残した。

つまり「モニカ」≒「ポリー・ガーター」説。これが今回の第二の仮説です。
僕はこちらの方が真相に近い気がしています。

■おまけ■



こちらは、上に訳したポリー・ガーターの独白部分の詩もとに、エルトン・ジョンが曲を書き、ジョージ・マーティンがプロデュースした、ボニー・タイラーの「I loved a man」。
これがポリー・ガーターの本質を捉えている気がします。


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